紫川

紫川（むらさきがわ）

紫川は福岡県北九州市の小倉南区および小倉北区を流れる二級河川で、その源流は福智山の標高約900.6メートルの山腹に位置しています。紫川は小倉南区から小倉北区を経て響灘に注がっており、この川は多くの生物が生息する豊かな自然環境を有しています。特に、クロダイやシロウオといった魚類、ホタルやトンボなどの昆虫類、さらにはさまざまな種の植物が見られます。

水質改善の歴史

しかし、1960年代までは周囲の工場や住宅からの排水が紫川に流れ込み、水質の悪化が問題視されていました。その後、1970年代に入ると下水道の普及が進み、1969年度の市全体の下水道普及率16パーセントから、1977年度には50パーセントを超えるまでに達しました。これに伴い水質も徐々に改善され、21世紀初頭の現在では、下水道の普及率はほぼ100パーセントに達し、紫川には再びアユやシロウオが遡上するようになり、上流ではホタルが舞う姿も見られるようになりました。

1980年5月には紫川支流の小熊野川で、姿を消していたホタルが20匹観察され、これを契機に1981年からは地元の校区で「ほたる祭り」が開かれるようになりました。1992年には北九州市河川課に全国初の「ほたる係」が設置され、現在では建設局水環境課に属し、ホタルが飛ぶための水質や環境の整備に尽力しています。また、2002年には小倉北区熊谷に「北九州市ほたる館」が開館し、地域の人々にホタルを通じた環境教育の場を提供しています。

整備事業

1990年には「紫川マイタウン・マイリバー整備事業」が立ち上がり、大雨に対する治水対策や、道路、公園、市街地などの一体的な整備作業が進められました。この整備事業は、北九州市が直面しているヒートアイランド現象の対策の一環として、海から吹き込む風を市街地へ効果的に流入させるためのものでした。2000年には、川や自然、環境についての理解を深めるための北九州市水環境館が開館しました。

紫川には「紫川大橋」と呼ばれる橋があり、これは手づくり郷土賞平成6年度受賞。また、「洲浜ひろば」や「遊びにおいでよ紫川！」といった地域活性化の活動が評価されるなど、紫川周辺の賑わい作りにも貢献しています。

主な支流と利水施設

紫川の主な支流には神嶽川、小熊野川、志井川、東谷川、合馬川、タカトリ川、滝ノ口川などがあります。これらの支流は紫川の流域の生態系に重要な役割を果たしています。また、利水施設としては鱒渕貯水池や鱒渕ダム、紫川水源地があります。

名称の由来

紫川の名前には諸説があり、特に小倉南区蒲生にある鷲峰山大興善寺前の「企救の池」と結びつけられる「紫池」の名残りが挙げられます。近年の考古学調査では、「紫池」の保全に関する関心も高まっていましたが、2007年に実施された現地確認により、その場所が道路工事で埋められていることが判明しました。

紫川に関連する施設

紫川周辺には、文化や情報発信、商業機能を持つ「リバーウォーク北九州」、自然について学べる「北九州市水環境館」、水辺環境についての学習ができる「北九州市ほたる館」などの施設があります。これらの施設は、紫川の自然環境や歴史的背景について人々の理解を深める役割を果たしています。

まとめ

紫川はその美しい自然環境と歴史的背景、地域活性化の取り組みから、多くの人々に愛される川となっています。これからも環境保護活動や地域づくりを通じて、さらなる発展が期待されます。

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