紫金山天文台

紫金山天文台は、中華人民共和国南京市玄武区に位置する中国科学院の天文台です。英語名はPurple Mountain Observatoryといい、数々の彗星や小惑星の発見で国際的に知られています。特に小惑星の発見においては、トロヤ群のケブリオネスなど147個に及び、これらの小惑星には中国の都市名、省名、著名な科学者の名前が付けられることが多いのが特徴です。

天文台が位置する紫金山は、南京の東に位置する山で、歴史的にも重要な場所です。明の初代皇帝である朱元璋の墓所（明孝陵）や、近代中国の父と呼ばれる孫文の墓所（中山陵）など、多くの史跡があります。さらに、天文台の所在地は、太平天国の天堡城跡でもあり、歴史的な背景を持っています。

天文台の建設は1929年に計画が開始され、1934年9月に完成しました。当初の名称は中央研究院天文研究所であり、中国が自力で建設した最初の近代的な天文台として、1996年には中華人民共和国の全国重点文物保護単位に指定されました。天文台の事務局は、南京市中心部の北京西路2号にあります。

1980年代以降、南京市街の発展に伴う深刻な光害の影響で、観測環境が悪化したため、実際の観測機能は、青海省デリンハ市などに設けられた観測所に移転しました。現在、南京の施設は、科学教育の拠点として利用されており、一般向けの公開や教育プログラムが実施されています。

中国暦の編纂という重要な役割も担っています。1912年、中華民国がグレゴリオ暦を正式な暦として採用して以降、中華人民共和国や台湾、香港などでもグレゴリオ暦が公式の暦として使用されています。しかし、旧正月（春節）などの伝統的な習慣は依然として社会に根強く残っており、中国を含む多くの地域では、旧暦に基づく祝祭日が法定休日として定められています。そのため、中国暦の計算は公的に維持されており、紫金山天文台がその編暦の責任を負っています。

紫金山天文台は、天文学研究の重要な拠点であるとともに、中国の歴史と文化を伝える場所としても重要な役割を果たしています。関連情報として、「中国と関係がある小惑星の一覧（中文版）」や、天文台の公式サイト（中国語簡体字版、英語版）も参照できます。

紫金山天文台は、科学の発展と文化の継承に貢献し続けています。

[中国科学院]]紫金山天文台公式サイト（[中国語簡体字版）
[中国科学院]]紫金山天文台公式サイト（[英語版）

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