細井九皋

細井九皋（ほそい きゅうこう）は、正徳元年（1711年）に生まれ、天明2年5月6日（1782年6月16日）に没した、江戸時代中期の日本の書家であり篆刻家です。

本名を細井知文といい、字を天錫と名乗りました。九皋の他にも、籀斎（ちゅうさい）や沢雉道人（たくちどうじん）といった号を用いています。通称は文三郎。江戸で生まれ育ちました。

九皋は、著名な書家であった細井広沢の子として生まれました。父の後を継ぎ、書家として生計を立て、広沢の名声をさらに高めることに貢献しました。その書は多くの人々に愛され、広く распространилась.

著書として『墨道私言（ぼくどうしげん）』があります。この書は、九皋の書道に対する深い造詣と、独自の理論が述べられた貴重な資料となっています。

また、九皋は篆刻にも優れており、明時代の篆刻家である何震（かしん）に師事したと伝えられています。しかし、明清時代の卑俗な装飾趣味に陥った印風を嫌い、古典に回帰した格調高い作風を確立しました。広沢と共に『奇勝堂印譜（きしょうどういんぷ）』を作成し、その才能を示す作品として知られています。

九皋の墓所は、東京都世田谷区等々力にある致航山感応院満願寺にあります。彼の足跡を偲ぶ人々が今も訪れています。

佐久間東川（さくま とうせん）とは親交があり、書の上での先輩として、九皋に大きな感化を与えたと考えられています。東川の影響を受け、九皋の書はさらに深みを増したと言えるでしょう。

参考文献
中井敬所篇「日本印人伝」『日本の篆刻』1966年 中田勇次郎編 二玄社

関連項目
日本の篆刻家一覧

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