細島 (広島県)

細島（ほそじま）について

細島は、瀬戸内海に属し広島県尾道市に位置する有人の島です。島は芸予諸島の一つであり、因島から北西に約1キロメートル、尾道中心部からは南西に約8キロメートル離れています。地図上では、本州の三原市に近い位置にありますが、実際の交通手段では因島からの航路が主なアクセス方法となっています。周囲には無人の小細島、向島、岩子島、さらには佐木島や小佐木島、宿禰島など多くの小島が点在しています。細島の面積は0.76平方キロメートル、周囲は5.3キロメートルで、最大標高は63メートルです。島内は主に花崗岩で構成されており、気候は典型的な瀬戸内海式です。

地域と生活

細島には1つの集落があり、2015年時点で29世帯、47人が暮らしています。しかし、高齢者の割合は61.8%に達しており、少子高齢化が進行しています。この島の主な経済は因島に依存し、地元住民は因島の製造業や農業に従事しています。島内では柑橘類や野菜の栽培が行われていますが、生活インフラの一部は因島からの供給に頼っています。

水道は因島からの海底送水管が大部分の世帯をカバーしており、普及率は100%に達しています。そして、下水システムについては、島内の浄化槽を利用していますが、普及率は24.5%と低くなっています。医療施設は島には存在せず、介護や医療サポートも因島に依存しています。また、通信インフラは携帯電話は通じるものの、光ファイバーやCATVは未整備で、インターネット接続はADSLに限られています。

細島の中心施設は「細島ハウス」という多目的施設です。この施設は地域住民の交流の場となっており、地域のイベントなどが行われています。高潮対策は万全ですが、土砂災害対策には課題が残る部分があり、注意が必要です。

歴史的背景

細島は、古くから人々によって利用され、海域の交通の要所とされていました。布刈瀬戸という水路は古来より「安芸地乗り」と呼ばれ、重要な航路として使われてきました。島内には2つの遺跡と2つの古墳が存在し、中でも細島第1号古墳は古墳時代中期にさかのぼると考えられています。この古墳は、海上交通を掌握していた人物の墓であると言われています。

細島という名前の由来は、島の形状または6世紀ごろに蘇我氏が設置した細部（水先人）に起因しているともされます。中世には細城（茶臼山城）という砦が設けられて、重要な防衛施設として機能していました。近代には幕末から明治にかけての歴史の中で広島藩の一部となり、重要な航路の一端を担っていました。1878年に設置された長太夫礁灯標は、この地域の航行の安全を保障するために重要な役割を果たしています。

環境と周辺

細島の南には、小細島という無人島があり、9300㎡の面積が広がっています。この島はかつて農地として利用されていましたが、現在では耕作が行われていません。加えて、島の西側には細ノ洲と呼ばれる砂州があり、大潮の際に現れるこの地域は、「日本の重要湿地500」にも指定されています。かつては豊富な魚介類が生息しており、地域の漁業の発展に寄与していました。

本州との交通手段は限られており、細島港からの航路が唯一のアクセス手段です。市営フェリーが因島重井西港（西浜港）との間を運航しており、1日あたり18回の運行があります。細島はその独自の地理的特性と歴史を持ちながら、地域コミュニティの支えを受けて、今日も静かに人々が生活を営んでいます。

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