細川光尚

細川光尚：肥後熊本藩を支えた二代目藩主

細川光尚（ほそかわ みつなお）は、江戸時代前期の大名であり、肥後熊本藩の第二代藩主です。初代藩主・細川忠利の長男として生まれ、幼名は六丸と称しました。元服後は、江戸幕府三代将軍・徳川家光から偏諱を受け、光利（みつとし）と名乗りました。後に光尚と改名します。

若き日の活躍と藩主就任

光尚は、寛永14年（1637年）に父・忠利と共に島原の乱へ参戦し、その武功を認められました。寛永18年（1641年）に父・忠利が死去したため、家督を継いで熊本藩の二代目藩主となりました。藩主となった翌年には、阿部弥一右衛門の遺族による反乱を鎮圧します。この事件は後世、『阿部茶事談』で脚色され、森鴎外の小説『阿部一族』の題材となりました。

藩政の確立と改革

正保2年（1645年）には、祖父・細川忠興の遺言により、従弟の細川行孝に3万石を分与し、宇土藩を立藩させました。慶安元年（1648年）には、伯父・長岡忠隆の一族を熊本藩の一門家臣家とするなど、家臣団の整備を進めます。さらに、家老制度や役人の官制改革を積極的に行い、藩政の基礎を固めました。

病床での決意と遺志

慶安2年（1649年）12月26日、光尚は31歳という若さでこの世を去ります。跡を継いだのは長男の綱利でしたが、当時7歳と幼かったため、家督相続を幕府に認めてもらう必要がありました。病床の光尚は、幼い息子・綱利の将来を深く憂慮し、幕府に対し「我が子は幼く、出仕に堪えないため、いかようにも公儀の望むようにしてほしい」という内容の願書を提出しました。この光尚の謙虚で神妙な態度が幕府の好感を得て、綱利の家督相続が認められ、細川家は取り潰しを免れることとなりました。

細川光尚の系譜

父: 細川忠利（1586年 - 1641年）
母: 保寿院（1597年 - 1649年）、千代姫、徳川秀忠の養女 - 小笠原秀政の次女
正室: 寧々、正受院 - 中納言烏丸光賢の娘
側室: 清高院 - 清水氏
長男: 細川綱利（1643年 - 1714年）
側室: 清光院 - 内海氏
* 次男: 細川利重（1647年 - 1687年）

細川光尚は、その短い生涯の中で、島原の乱での武功、藩政改革、家臣団の制度化など、熊本藩の発展に大きく貢献しました。また、病床においても藩の将来を案じ、その行動は幕府からも高く評価されました。彼の遺志は、後を継いだ綱利によって受け継がれ、熊本藩はさらに発展していくこととなります。

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