小笠原秀政

小笠原秀政

小笠原秀政（おがさわら ひでまさ）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将であり、大名です。信濃守護小笠原氏の末裔で、下総古河藩主、信濃飯田藩主を経て、信濃松本藩主となりました。小笠原宗家の初代としても知られています。

生涯

永禄12年（1569年）3月21日、小笠原貞慶の長男として山城国宇治田原で生まれました。当時、小笠原氏は武田信玄によって信濃国を追われ、各地を流浪していました。天正10年（1582年）の本能寺の変で織田信長が亡くなると、父の貞慶は徳川家康の家臣となるため、秀政を人質として差し出しました。秀政は石川数正に預けられます。

天正13年（1585年）、石川数正が秀政を連れて豊臣秀吉のもとへ出奔すると、貞慶も秀吉に仕えることになりました。秀政は秀吉から偏諱を与えられ、秀政と名乗るようになります。天正17年（1589年）には父から家督を譲られ、小笠原家の当主となりました。同年8月には秀吉の仲介で徳川家康と和睦し、家康の孫娘である登久姫を妻として迎えました。

天正18年（1590年）、小田原征伐で軍功を挙げますが、父が秀吉の怒りを買い改易されたため、秀政は父とともに再び家康に仕え、下総国古河に3万石を与えられました。文禄4年（1595年）には従五位下・上野介に任じられ、豊臣姓を賜りました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは東軍につき、宇都宮城の守備で功績を挙げました。翌年、信濃国飯田に5万石で加増移封されます。慶長12年（1607年）、秀政は出家し、家督を長男の忠脩に譲りました。慶長18年（1613年）には、父祖の地である信濃国松本に8万石で加増移封されています。

慶長20年（1615年）の大坂冬の陣では、忠脩が小笠原軍を率いて出陣し、秀政は松本城の留守を預かっていました。大坂夏の陣では秀政が出陣し、忠脩が留守居を務める予定でしたが、忠脩は独断で国元を出て従軍してしまいます。これは重大な軍令違反でしたが、家康はこれを許しました。小笠原父子は、隣藩の諏訪忠恒らとともに榊原康勝軍に従って参戦します。しかし、天王寺口の戦いで本多忠朝を救援した際、大坂方の猛攻を受け、忠脩は戦死し、秀政も瀕死の重傷を負って戦場を離脱しました。その後、間もなく戦傷が原因で死去したとされています。享年47歳。この激戦で本多忠朝も戦死し、榊原康勝も持病が悪化しながらも戦い続けた結果、戦後すぐに病死しています。

秀政の跡は次男の忠真が継ぎました。この時、秀政父子が戦死したことは、後世の小笠原家が改易の危機に見舞われた際に、常に「父祖の勲功」として救われる一因となりました。

逸話

秀政は死ぬ前に、家康に対して「信濃は……」と言い残したと伝えられています。しかし、その続きは不明で、後継者に関するものだったのではないかと推測されています。

また、織田信孝と同じ「弌剣平天下」の印判を用いていました。

脚注

注釈

出典

参考文献

* 今井尭「小笠原系図」『日本史総覧』 3（中世 2）、新人物往来社、1984年。 NCID BN00172373。

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