細川勝氏

細川勝氏について

細川勝氏（ほそかわ かつうじ）は、室町時代の人物で、記録としては『海東諸国紀』にのみ登場します。細川氏の一族であり、細川勝元の従兄弟にあたるとされていますが、具体的な系譜は明確ではありません。一般的には、勝元の叔父である細川持賢が父である可能性が指摘されていますが、確証は得られていません。

諱の「勝」の字は、勝元と同様に、室町幕府第7代将軍・足利義勝から一字拝領したものでしょう。このことから、勝氏も幕府内で一定の地位にあったと考えられます。

生涯

勝氏の生涯については、『海東諸国紀』にわずかな記述が残るのみです。

記録によれば、肥前国の藤原頼永の使者であった僧・寿藺（じゅい）が朝鮮へ渡航する際、勝氏は護送役を担っていました。当時、朝鮮と室町幕府、地方の守護大名や国人層との間で使節の派遣が盛んに行われており、寿藺は朝鮮からの書状を幕府に届けた後、再び朝鮮へ向かうことになります。

寛正3年（1462年）2月、勝氏は8代将軍・足利義政（義勝の弟）の命を受けて、朝鮮への使者を立てます。この時、勝氏自身も朝鮮への書簡を認めたとされています。また、『東松浦郡史』には、勝氏が那久野（現在の名護屋）にいたという記述も残っています。

『海東諸国紀』における記述

『海東諸国紀』には、細川氏および勝氏に関する記述がいくつか見られます。以下にその一部を抜粋し、補足情報を加えてご紹介します。

細川殿
当時の室町幕府では、細川勝元が有力な守護大名として勢力を誇っていました。勝元は山名教豊（山名宗全と同一人物とする説もある）の娘を娶っていますが、実子がなかったため、教豊の幼い子を養子に迎えています。その後、実子（細川政元）が生まれたため、養子は僧にされました。このことに怒った教豊は、勝元と対立し、戦乱に発展しました。

細川勝氏
細川勝氏は、細川勝元の従兄弟であり、文明2年（1470年）に朝鮮へ使者を派遣しています。当時、松浦の豪族である藤原頼永の使者、寿藺が来朝した際、朝鮮と日本との間で通信を始めようとする動きがありました。寿藺が日本へ帰国する際、勝氏は贈り物とともに書状を託し、心苑東堂らを派遣しました。

また、寿藺の報告によれば、大内氏の使者が海賊に襲われ、贈り物などが奪われる事件も発生していたようです。しかし、この報告には誇張や虚偽が含まれている可能性も指摘されています。

まとめ

細川勝氏は、室町時代の動乱期に、朝鮮との外交に関わった人物です。『海東諸国紀』という限られた資料の中にしか登場しないため、詳しい人物像は不明ですが、当時の社会情勢や外交関係を考察する上で、貴重な手がかりとなります。

勝氏がどのような役割を担っていたのか、また、その後の人生はどのようなものであったのか、更なる研究が待たれます。

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