細川輝経

細川輝経（ほそかわ てるつね）

細川輝経は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、室町幕府の御供衆を務めました。細川奥州家の11代当主として、また出家後は宗賢と名乗りました。彼の生涯は、室町幕府の衰退と戦国時代の動乱の中で、複雑な運命を辿りました。

出自

細川氏の祖は、足利義兼の庶兄である矢田義清の子、広沢義実の次男義季に遡ります。細川奥州家は、南北朝時代に足利尊氏と共に活躍した細川顕氏の子孫にあたります。この家系は、室町幕府において重要な役割を担っていました。

生涯

細川輝経は、細川晴経の子として生まれました。その名は、室町幕府13代将軍・足利義輝の偏諱である「輝」と、細川家の通字である「経」を組み合わせたものです。彼は、細川藤孝（後の幽斎）や一色藤長らと共に、将軍義輝の近習として仕えました。義輝の弟である義昭が将軍になると、彼もまた義昭に仕え、義昭が織田信長によって追放された後も、他の幕臣と共に備後国鞆の浦に下向しました。

その後、細川藤孝の子である細川忠興の重臣であり、輝経の義弟にあたる松井康之の元に、300石の客将として迎えられます。輝経は、関ヶ原の戦いの前には大坂細川邸で忠興の妻である玉を守ろうとしました。しかし、後に康之の居城である丹後国久美浜城の守将を任されると、西軍に内通して久美浜城を乗っ取るという行動に出ます。

しかし、戦後、西軍に内通したことが発覚し、切腹を命じられました。『松井家譜』によると、輝経とその息子の松井久左衛門（昭経）が西軍と通じていることを知った康之の妻は、密かに嫡男である松井興長の妻（忠興の娘）古保を連れて久美浜城を脱出し、戦後、豊後国から帰国した康之がこの件を聞いて輝経を問い詰めたところ、慶長5年（1600年）10月に輝経は自害し、昭経は出奔したと記されています。

系譜

父：細川晴経 - 三郎四郎、室町幕府御供衆
母：不詳
妻：松井正之の娘 - 松井康之の姉・清光院
生母不明の子女
男子：細川昭経 - 通称:久左衛門
養子
男子：細川忠興？（1563-1646） - 細川藤孝の長男。
江戸時代以降に輝経の養子になったと記されることがありますが、同時代史料にはそのような記録はありません。

脚注

輝経の生涯は、室町幕府の崩壊と戦国時代の混乱の中で、将軍家への忠誠と、一族の存続の間で揺れ動いた武将の一人であったと言えるでしょう。彼の関ヶ原の戦いにおける行動は、最終的に悲劇的な結末を招きましたが、その背景には、複雑な人間関係と時代の流れがありました。

参考文献

福原透「角田因幡守入道宗伊・細川陸奥守入道宗賢の事蹟について」『熊本史学』74・75号、1998年。/所収:木下昌規 編『足利義輝』戎光祥出版〈シリーズ・室町幕府の研究 第四巻〉、2018年。ISBN 978-4-86403-303-9。

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