細野躋

細野躋（ほその のぼる）

細野躋は、1890年（明治23年）4月9日に東京府豊多摩郡渋谷村（現在の東京都渋谷区）で生まれ、1984年（昭和59年）3月30日に93歳で没した日本の官僚、実業家です。

生い立ちと官僚時代

細野躋は、1915年（大正4年）に東京帝国大学法学部を卒業後、高等文官試験に合格し鉄道省に入省しました。その後、イギリスとアメリカ合衆国へ留学し、帰国後は鉄道書記官、総務課長と要職を歴任しました。官僚時代には、全国の鉄道局職員による野球大会に出場した経験も持っています。

阪神電気鉄道とプロ野球への貢献

官僚を辞した後、細野は阪神電気鉄道へ出向し、取締役支配人に就任しました。この頃、読売新聞社の正力松太郎から、甲子園球場を本拠地とする職業野球チームの創設を打診されます。細野は、当時の阪神電鉄社長の今西与三郎、専務の石井五郎らと共に、1935年（昭和10年）12月に「大阪野球倶楽部」を設立しました。この球団は、現在の阪神タイガースの前身となります。

日本職業野球連盟のリーグ戦が開始されると、細野は阪急軍の小林一三と共に、南海鉄道の寺田甚吉を熱心に誘い、南海軍の創設とリーグ加盟に尽力しました。これらの活動は、日本のプロ野球発展に大きく貢献したと言えます。

戦後と晩年

終戦後、細野は阪神電鉄の専務取締役に就任しました。その他にも、摩耶鋼索鉄道や阪神百貨店の取締役、阪神乗合自動車の監査役などを歴任し、その後は摂津車輛の代表取締役を務めました。多岐にわたる事業で手腕を発揮し、戦後の経済復興に貢献しました。

細野躋は、官僚、実業家としてだけでなく、プロ野球の発展にも貢献した人物として、その功績は高く評価されています。

参考資料

人事興信所 編『人事興信録』第24版下（1968年） NCID BN11953592

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