終わらない悪夢と新たな旅

『終わらない悪夢と新たな旅』：復活したダーレクの脅威と、家族の絆

2019年1月1日、BBC Oneで放送された『ドクター・フー』のエピソード「終わらない悪夢と新たな旅」（原題：Resolution）は、クリスマススペシャルに代わる新春スペシャルとして放送され、大きな注目を集めました。13代目ドクター（ジョディ・ウィテカー）と、彼女の仲間たちが、復活したダーレクの脅威に立ち向かう姿が描かれるこのエピソードは、単なるSFアクションにとどまらず、家族の絆や、現代社会の課題を反映した、奥深い物語となっています。

シェフィールドの下水道に潜む脅威

物語は、新年を祝うドクターたちの様子から始まります。しかしその喜びもつかの間、シェフィールドでエイリアンが暗躍していることが判明します。9世紀に封印されたそのエイリアンは、考古学者によって発掘されたことで復活。下水道に潜み、女性研究者に憑依し、宿主の肉体を乗っ取ろうとします。その正体は、ダーレクの偵察兵。ドクターは、ダーレクの艦隊が地球に到達する前に、これを阻止しようと決意します。

イギリスの現状と、孤軍奮闘するドクター

時を同じくして、イギリスはEU離脱による貿易摩擦に見舞われ、対エイリアン組織UNITは活動停止状態。ドクターは、一人、ダーレクを追うことになります。強力な武器を手に入れたダーレクは、イギリス陸軍を壊滅させるほどの戦闘力を誇り、ドクターは絶体絶命の危機に陥ります。

家族の絆を取り戻す旅

一方、ライアン・シンクレア（トシン・コール）のもとには、彼の父アーロン（ダニエル・アデグボーイエガ）が訪ねてきます。アーロンは、ライアンの母親の葬儀を欠席したことを、ライアンや義理の祖父グレアム（ブラッドリー・ウォルシュ）から責められていました。しかし、偶然にもターディスに乗り込んでしまい、政府通信本部でのダーレクとの戦闘に巻き込まれます。アーロンが開発していたオーブンレンジの技術が、ダーレクの外殻破壊に貢献。そして、ダーレクに寄生されたアーロンを、ライアンが救出します。この出来事をきっかけに、親子は再び絆を取り戻すのです。

製作と放送

このエピソードは、クリス・チブナルが脚本を、ウェイン・イップが監督を担当しました。2005年以来続いてきたクリスマススペシャルに代わり、新春スペシャルとして放送された「終わらない悪夢と新たな旅」は、2019年に放送された『ドクター・フー』唯一のエピソードであり、713万人の視聴者数を記録しました。日本では、Huluで字幕版と吹き替え版が配信されました。DVDやBlu-rayディスクも発売され、日本版には特典映像として「『終わらない悪夢と新たな旅』制作の舞台裏」と「ダーレクの再生」が収録されています。また、セーガン・アキノラが作曲したサウンドトラックもリリースされました。

高い評価と、視聴者への影響

このエピソードは、スリリングな展開と、家族の絆を描いた感動的なストーリーで、多くの視聴者から高い評価を受けました。ダーレクの復活という、ファンを熱狂させる要素と、現代社会の問題を巧みに織り交ぜた脚本は、新たな『ドクター・フー』の時代の幕開けを告げるにふさわしい作品と言えるでしょう。単なるSFドラマの枠を超え、家族、社会、そして未来について考えさせられる、深い余韻を残すエピソードとなっています。

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