組積造

組積造（そせきぞう）

組積造とは、石や煉瓦、コンクリートブロックなどの建材を積み上げて作る建築構造を指します。この手法は、英語では「メーソンリー」とも呼ばれます。組積造は、外壁や内壁を形成し、それによって屋根や天井などの上部構造物を支持します。この手法は、柱と梁を用いて屋根を支える「架構式構造」と対比されます。

組積造の特徴

組積造の主な特徴は、構造が壁によって構成され、それによって地震や火災に強い点にあります。例えば、古代ローマでは、内部に煉瓦を用い、外側は石で覆う構造が多く見られました。このように、組積造は硬い材料を使用するため、外敵からの防御という意味合いも強いです。特に土や日乾煉瓦、焼成煉瓦は、西アジアや北アフリカなどの地域で広く利用されてきました。

組積造は、木材が入手困難な地域において、古代から用いられてきた手法でもあります。たとえば、イグルーのように氷のブロックを積み上げた住居も組積造の一例です。さらに、古代エジプトではアーチやドームの技術が発展し、木材が不足するなかでも効果的に利用されてきました。

歴史的背景

ヨーロッパにおいては、もともと木造が主流でしたが、オリエントから伝わった石造技術により、防火の目的で組積式が広がりました。ロマネスクやゴシックスタイルでは、石材を用いたヴォールトの技術が採用されたことから、この構造が広まりました。しかし、一般的な住宅は依然として木材と煉瓦を組み合わせた構造が主流でした。

現代における組積造の課題

組積造は火災に強く、腐朽しにくいという長所がありますが、構造的に弱く、水平方向の外力に対する耐性に乏しいという欠点があります。このため、日本では組積造はあまり普及せず、木造軸組工法が主流となっています。特に、明治時代以降の近代化に伴い、西洋の煉瓦組積が導入されましたが、関東大震災では多くの煉瓦建築が崩壊しました。

近代以降、組積造は鉄筋を用いて補強されるようになり、モルタルやコンクリートで強化されています。しかし、開口部の制約から高層化が難しく、近年では鉄筋コンクリート（RC）や鉄骨構造が主流を占めています。それでも、南米や中東地域では、組積造による伝統的な建物が今なお多く見られます。

結論

組積造は、古くからの工法でありながら、その特性を生かし様々な地域で用いられ続けています。古代から現代に至るまで、この技法は建築における重要な要素として存在しており、その進化を追うことは建築史を知る上で欠かせない要素です。

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