経済監視官

経済監視官とは

経済監視官は、1947年（昭和22年）に、当時の府県警察部（東京都では警視庁）に配属された警察職員です。終戦直後の日本経済が混乱していた時期に、経済犯罪を取り締まるために設置されました。

設置の背景

終戦直後、日本では闇市が各地に出現し、ヤミ物資が横行するなど、経済は非常に混乱した状況にありました。このような状況下で、経済事犯を取り締まるために警察官の増員が求められましたが、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）はこれを認めませんでした。

そこで、内務省は苦肉の策として、「警察官ではない警察職員」という形で「経済監視官」という特別な職種を設けることになりました。これにより、警察官の増員をせずに、経済犯罪の取締りを行うことが可能になりました。

職務と権限

経済監視官は、経済事犯の取締りに関して、特別司法警察職員としての権限を持っていました。主に経済取締担当の警察官と協力して、闇市での不正行為や物価統制令違反などの取り締まりを行いました。警察官ではありませんでしたが、警察活動に準じた活動を行っていました。

階級と採用

経済監視官には、「経済監視官」と「経済監視官補」の二つの階級がありました。経済監視官は警部補に相当し、経済監視官補は巡査や巡査部長に相当しました。採用に当たっては、外地から引き揚げてきた元警察官などが多く採用されました。これは、経験のある人材をすぐに確保するための措置でした。

服装と装備

経済監視官には、制服は支給されず、代わりに身分証明書を携帯していました。また、警察官と同様に、警笛と捕縄を装備していました。これは、経済事犯を取り締まる上で必要な装備でした。

廃止

経済監視官は、旧警察法の制定により、警察官の大幅な増員が認められるようになったことで、その役割を終えました。多くの経済監視官は警察官に転官し、1949年（昭和24年）に経済監視官の制度は廃止されました。その活動期間は短期間でしたが、戦後の混乱期における経済犯罪の取り締まりに重要な役割を果たしました。

関連項目

闇市
物価統制令

経済監視官は、戦後の混乱期という特殊な時代背景の中で生まれた、特殊な警察職員でした。その存在は、当時の社会情勢や警察組織の状況を反映するものであり、日本の警察史において重要な位置を占めています。

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