経絡治療学会

経絡治療学会

経絡治療学会（英: Traditional Japanese Medicine）は、伝統的な日本の鍼灸医学である経絡治療の研究を目的とする学術団体です。その起源は、鍼灸師である柳谷素霊、井上恵理、岡部素道らによって設立された弥生会に遡ります。弥生会はその後、東邦医学会を経て、現在の経絡治療学会へと発展しました。

概要

経絡治療学会は、東洋医学に根ざした鍼灸治療、特に経絡治療を重視した研究を行っています。特徴的なのは、脈診、腹診、舌診といった伝統的な診察方法を重んじている点です。これらの診察法を通じて、患者の身体の状態を詳細に把握し、適切な治療へと繋げています。

学会は創設当初から、学術論文や書籍の出版に力を入れてきました。これらの出版物は、経絡治療に関する知識の普及と発展に大きく貢献しています。

毎年8月には、経絡治療の技術向上を目的とした夏期大学を開講しています。この夏期大学は、2008年時点で50年目を迎えるという長い歴史を持っており、経絡治療における生の脈診や実践的な治療法を学ぶ貴重な機会を提供しています。参加者は鍼灸師だけでなく、鍼灸大学や専門学校の学生も多く、若い世代の育成にも力を入れていることが伺えます。

修了証

経絡治療学会の夏期大学の課程を修了した、はり師・きゅう師の免許保持者には、東洋療法研修試験財団から修了証が授与されます。夏期大学のレベルは、参加者の経験や知識に応じて、普通科、高等科、研究科、研修科の4段階に分かれています。

普通科: 新規参加者および再受講希望者向け
高等科: 普通科修了者向け
研究科: 高等科修了者向け
研修科: 研究科修了者向け

総会

経絡治療学会は、年次総会として「経絡治療学会学術大会」を開催し、研究発表や意見交換を行っています。第34回学術大会は2019年3月23日から24日にかけて広島で開催されました。

主な出版物

経絡治療学会は、経絡治療に関する様々な書籍や学術誌を出版しています。代表的な出版物としては、以下のようなものがあります。

『日本鍼灸医学　経絡治療・基礎編』（岡部素明、岡田明三ら著）
『日本鍼灸医学　経絡治療・臨床編』
『難経入門』（遠藤了一著）
CD-ROM版『東洋鍼灸医学　経絡治療』：機関誌1-160号の合巻
学会誌『経絡治療』

学会誌『経絡治療』は、1965年4月1日に創刊され、年4回刊行されています。2023年1月時点で第228号を数え、現在も継続して刊行されています。また、2005年には、初号から第160号までをCD-ROMにまとめたものが発行されました。

学術論文

学会誌『経絡治療』には、経絡治療に関する様々な学術論文が掲載されています。最近の論文の例としては、以下のようなものがあります。

橋本厳「経絡病証の視点」（第230号、2022年）
岡田明三「視野の広い経絡治療」（第229号、2022年）
金子宗明「私の経絡治療~効く鍼を追及して~」（第228号、2022年）

学会賞

経絡治療学会は、夏期大学の受講回数に応じて、5年表彰、10年表彰を行っています。表彰は閉会式で行われ、賞状と記念品が授与されます。

経絡治療学会は、伝統的な鍼灸医学である経絡治療の研究と発展に大きく貢献している学術団体です。学術大会や出版物などを通じて、経絡治療に関する知識の普及と技術の向上に努めています。

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