経鼻エアウェイ

経鼻エアウェイについて

経鼻エアウェイ（けいびエアウェイ）は、鼻咽頭エアウェイとも称される気道補助具の一つです。この器材は、略称としてNPA（Nasal Pharyngeal Airway）や「nasal trumpet」とも知られ、鼻から後咽頭へ挿入することで気道を確保する役割を果たします。1958年にハンス・カール・ヴェンドルによって初めて発表され、以来、救急医療において重要な道具として広く使用されています。

経鼻エアウェイの必要性

患者が意識を失った状態になると、顎の筋肉が弛緩し、舌が後方に滑ることで気道が塞がれることが一般的です。このような場合、気道を確保する必要がありますが、経鼻エアウェイはその選択肢の一つとして利用されます。特に、意識レベルが低下している患者においては、より効果的に気道を開放することが期待できます。また、エアウェイのラッパ状の部分は、鼻腔内でエアウェイが深く挿入されることを防止する役割も持っています。

サイズの種類

経鼻エアウェイは、フレンチスケールを基にしたサイズ体系で提供されていますが、ミリメートル単位でも表記されています。一般的には、6.5mm（28FR）、7.0mm（30FR）、7.5mm（32FR）、8.0mm（34FR）、8.5mm（36FR）などのサイズが存在します。患者に応じて適切なサイズを選択することが、挿入の成功率を高めるために重要です。

適応症と禁忌

経鼻エアウェイの使用は、人為的に気道を確保する必要がある状況下で特に役立ちますが、気管挿管が困難な場合や、非熟練の医療従事者によって管理される場合に使用されます。例えば、救急救命士や救急隊員が実施する現場での医療行為としてその有用性が発揮されます。また、意識のある患者や、意識レベルが変動する患者において、口咽頭エアウェイを使用すると咽頭反射が起こる場合には、経鼻エアウェイが選択されることがよくあります。ただし、鼻面に外傷がある場合や、頭蓋骨骨折の可能性がある場合は、その使用が禁忌とされます。

経鼻エアウェイの挿入方法

経鼻エアウェイの挿入には、適切なサイズの選定が不可欠です。患者に対してエアウェイを横から近づけ、鼻孔から耳たぶまでの距離を基準に選定します。一般的な中程度の体格の成人では、長さは8〜9cm程度が標準です。挿入の際には、エアウェイの外側に水性潤滑剤を使用してスムーズに挿入できるよう準備します。その後、エアウェイのラッパ状の端が鼻孔に当たるまで挿入することが求められます。これにより、気道確保の役割を果たすことが期待されます。

経鼻エアウェイは、適切に使用されることで、気道確保の重要な手段となり得る道具です。意識のある患者や意識不明の患者に対しても配慮した適切な取り扱いが求められます。

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