結城康博

結城 康博（ゆうき やすひろ）

日本の社会福祉学者であり、淑徳大学教授。1969年9月17日生まれ。

専門分野と多様な背景

結城康博氏は、社会保障論および社会福祉学を専門とする研究者です。法政大学大学院で経済学の修士号、政治学の博士号を取得しています。また、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員といった福祉分野の国家資格に加え、2022年には保育士資格も取得するなど、幅広い資格を有しています。

研究活動だけでなく、実務経験も豊富です。大学卒業後、短期間のフリーター生活を経て、栃木県の特別支援学校で教壇に立ちました。その後、東京都の特別区で福祉職の公務員として勤務。北区の障害者福祉センターで介護に携わり、新宿区役所では児童家庭課（児童館・学童保育担当）や、在宅介護支援センター、地域包括支援センターでケアマネジャーとして高齢者福祉にも関わるなど、子どもから高齢者、障害者まで、多岐にわたる福祉分野の現場を経験しています。これらの実務経験は、その後の研究活動の基盤となっています。研究者へ転身した後も、非常勤のケアマネジャーとして現場とのつながりを保ち、2009年からは研究に専念しています。

歩み：北海道から全国へ

結城氏の人生の初期は、転居を繰り返しながら過ごしました。北海道虻田郡洞爺湖町で誕生後、幼少期は札幌市、当別町で過ごし、当別町立西当別小学校に入学。小学校2年生の時に父親の転勤で栃木県宇都宮市へ移り、宇都宮市立御幸ヶ原小学校、宇都宮市立鬼怒中学校を卒業しました。その後、神奈川県に転居し、サレジオ学院高等学校を卒業。大学は淑徳大学社会福祉学部で学びました。大学院は法政大学に進み、社会科学研究科で経済学と政治学を専攻しました。このような多様な地域での生活経験が、その後の社会を見る視点に影響を与えている可能性も考えられます。宗教はカトリック教徒です。

研究と社会への発信

結城氏は、社会保障制度、特に介護保険制度に関する専門家として知られています。社会保障審議会介護保険部会の委員を二期にわたって務めるなど、国の政策形成にも関わりました。

また、社会保障や福祉に関する研究成果を、一般の読者にも分かりやすい形で積極的に発信しています。介護、医療、孤独死といったテーマを中心に多数の著書を刊行しており、その多くは新書や文庫形式で出版され、広く読まれています。

メディアへの出演も多く、テレビのニュース番組や情報番組などでコメンテーターとして、社会保障や介護・医療問題について解説を行っています。これらの活動を通じて、社会が直面する課題に対する理解を深め、議論を喚起することに貢献しています。

主な著書

• - 『介護－自分で選ぶ視点』（岩波新書）
• - 『福祉社会における医療と政治』（本の泉社）
• - 『在宅介護―現場から検証―』（岩波新書）
• - 『医療の値段―診療報酬と政治』（岩波新書）
• - 『介護の値段―老後生き抜くコスト』（毎日新聞社）
• - 『入門介護』（ちくま新書）
• - 『高齢者は暮らしていけない』（岩波書店）
• - 『日本の介護システム』（岩波書店）
• - 『介護と看取り』（毎日新聞社）※平野・結城共著
• - 『孤独死を防ぐ』（ミネルヴァ書房）※中沢・結城編著
• - 『孤独死のリアル』（講談社現代新書)
• - 『介護職がいなくなる』（岩波ブックレット）
• - 『社会福祉原論～人口減少社会を見据えて』（淑徳大学長谷川仏教文化研究所）
• - 『介護人材が集まる職場づくり:現場リーダーだからこそできる組織改革』（編著）（ミネルヴァ書房）

主なメディア出演番組

• - モーニングショー（テレビ朝日）
• - ひるおび!（TBS）
• - あさイチ（NHK）
• - みのもんたの朝ズバッ!（TBS）
• - がっちりアカデミー!!（TBS）
• - クローズアップ現代（NHK総合）

結城氏の活動は、単なる机上の研究にとどまらず、多様な現場での実務経験、政策提言への参加、そして一般に向けた分かりやすい発信という多角的なアプローチによって、日本の社会保障や福祉のあり方についての議論を深める上で重要な役割を果たしています。

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