結果に訴える論証

結果に訴える論証

結果に訴える論証とは、ある信念や前提がもたらす結果をもとに、その前提の真偽を論じる論理的な手法の一つです。この論証形式は、英語で「appeal to consequences」と呼ばれており、感情的な要素が強く含まれることが特徴です。一般的に、この手法は前提の真理を結果の良し悪しに基づいて決定付けるため、主観的な判断が入り込みやすく、論理的な誤り（誤謬）の一形式とされています。

基本概念

論理学において、結果に訴える論証は、前提が真か偽かという問いに対して、結果に基づいて結論を導く場合に限り適用されます。この際、前提が持つ適切さや道徳性についての議論は、論理学の範疇を超え、倫理学に関連する事項となります。ここで重要なのは、前提の真理値が結果の好悪とは独立しているという点です。したがって、この手法が使われる際には、結果の評価が必然的に主観に基づくものであることを念頭に置く必要があります。

大まかな論証形態

結果に訴える論証は、大きく「肯定形」と「否定形」の2つの形式に分類されます。

1. 肯定形

この形式は、次のような構成を持っています。

• - 前提：「PならばQが起きる」
• - 結果：「Qは好ましい」
• - 結論：「したがってPは真である」

この構成は、希望的観測とも密接に関連しています。例えば、「もし円周率が有理数であれば、数学がよりシンプルに理解できる」といった主張がこれに当たります。ここでは、前提を支持するために、その結果の好ましさを強調しています。

2. 否定形

否定形の構成は次の通りです。

• - 前提：「PならばQが起きる」
• - 結果：「Qは好ましくない」
• - 結論：「したがってPは偽である」

この形式は、威力に訴える論証に似ています。例えば、「選択公理があると、幾何学が常識に反することになるので間違いである」といった議論がその例です。基本的には、「Q」が好ましくないとされる結果をもとに、前提の偽を主張しています。

誤謬としての性質

結果に訴える論証は、その性質上、常に正しい結論をもたらすわけではありません。前提そのものが真実であったとしても、結果がどうであるかに依存して結論を導くため、論理的には誤りを含むことがあります。したがって、論理学的には避けるべきアプローチと見なされることが多いですが、一部の倫理理論、特に帰結主義などでは重要な役割を果たしています。これらの場合、結果の良し悪しがその理論の基本という立場になり得るからです。

結び

結果に訴える論証は、感情的な誤りを含む可能性がありながらも、日常の議論の中でしばしば見受けられます。私たちが信じることが、どのような結果をもたらすかを考察する一方で、その結果の評価がいかに主観的であるかを理解することが重要です。このように、結果に訴える論証は、論理的な思考を深めるための一つの視点を提供していると言えるでしょう。

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