統合作戦司令部

統合作戦司令部とは

統合作戦司令部とは、防衛省に新設される特別機関であり、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の三自衛隊を統合的に指揮監督する組織です。2024年度末に設置される予定で、陸海空の各幕僚長と同等の地位を持つ統合作戦司令官が、部隊の運用を統括します。

設立の背景

これまで、統合幕僚長が内閣総理大臣や防衛大臣への補佐と部隊への指揮という二つの任務を兼任していたため、大規模災害や有事の際に迅速な対応が困難になる可能性が指摘されていました。この問題を解決するため、統合幕僚監部から部隊運用部門を分離し、新たに「統合司令部」を設置する構想が浮上しました。これにより、統合幕僚長は大臣の補佐に専念し、統合司令官は部隊運用に専念できるようになります。

2024年には、当時の統合幕僚長が能登半島地震への対応などで過労となり入院したことも、この構想を加速させる要因となりました。

2022年12月に閣議決定された国家防衛戦略において、常設の統合司令部を設置する方針が示され、2023年8月には市ヶ谷への設置が決定しました。2024年5月には、設置に必要な法案が可決・成立し、2025年3月31日までに施行される予定です。

統合作戦司令部の役割

統合作戦司令部の主な役割は以下の通りです。

平時から部隊を一元的に指揮し、自衛隊の運用を円滑化する。
陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波など、あらゆる領域における統合的な作戦遂行能力を向上させる。
防衛大臣の命令に基づき、必要な指揮官に任務を付与し、戦力を適切に配分し、作戦を指揮する。
米インド太平洋軍との連携を強化し、共同作戦を円滑に進める。

統合作戦司令部は、作戦構想の策定を担当し、より上位の戦略レベルは引き続き統合幕僚監部が担うことになります。

組織編成

創設当初の統合作戦司令部は約240人で構成されます。主な役職は以下の通りです。

統合作戦司令官: 陸海空将たる自衛官が就任し、陸海空幕僚長と同格の地位です。
統合作戦副司令官: 陸海空将たる自衛官が就任します。
幕僚長: 陸海空将たる自衛官が就任します。
統合作戦司令官補佐官: 事務官が就任します。
総務官: 司令部全体の事務を統括します。
情報部: 情報収集・分析を担当します。
作戦部: 作戦計画の立案・実行を担当します。
後方部: 部隊の補給・整備を担当します。
指揮通信官: 通信システムの運用を担当します。
法務官: 法務関連の業務を担当します。

関連事項

統合作戦司令部の創設に関連する技術やシステムは以下の通りです。

統合全領域指揮統制: 全ての領域を統合した指揮統制システムです。
C4Iシステム: 指揮、統制、通信、コンピュータ、情報システムです。
防衛情報通信基盤: 防衛省内の情報ネットワークです。
統合同軸報送信サービス: 各部隊間の情報伝達を担います。
戦術データ・リンク: 部隊間で戦術情報を共有するシステムです。
多領域[作戦]: 陸・海・空・宇宙・サイバーなどの各領域を統合した作戦です。
* 汎地球指揮統制システム(GCCS): 米軍が運用するグローバルな指揮統制システムです。

その他

統合作戦司令部の設置は、自衛隊の運用体制を大きく変革するものです。今後、この新たな組織がどのように機能し、日本の防衛に貢献していくのかが注目されます。

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