統合精密進入着陸装置

統合精密進入着陸装置（JPALS: Joint Precision Approach and Landing System）は、グローバル・ポジショニング・システム（GPS）の信号を基盤とし、リアルタイムでの差動補正を行うことで、全天候型の精密な着陸を可能にするシステムです。特に、空母（CVN）や強襲揚陸艦（LHタイプ）などの船舶での運用を想定して開発されました。

JPALSは、GPSから得られる位置情報に、ローカルエリア補正メッセージを適用することで、誤差を大幅に低減します。これにより、水平・垂直方向ともに1メートル未満という非常に高い精度での位置測定が可能になります。この高精度な位置情報は、計器着陸装置（ILS）と同様の表示形式でパイロットに提供され、安全かつ正確な着陸を支援します。

JPALSは、地域増強システム（LAAS: Local Area Augmentation System）と類似したシステムですが、主に軍事利用を目的として設計されています。しかし、JPALSの技術の一部は、民間航空における重要な運用を不正な信号干渉から保護するために、将来的に民間での利用に発展する可能性も秘めています。

地域増強システム（LAAS）は、すでに非常に高い精度を実現していますが、JPALSはそれを上回る精度を目指しています。LAASがCATIII ILS（カテゴリーIII計器着陸装置）よりも高い精度を持つように、JPALSも同様に、それ以上の精度で1メートル未満の水平・垂直解像度を達成すると推定されています。ただし、JPALSの具体的な精度は機密情報として扱われています。

JPALSの最大の特徴は、その可搬性にあります。システム全体を容易に移動させることができるため、世界中のどこにでも展開し、24時間365日、全天候型での着陸支援が可能です。これは、従来の着陸システムと比較して、運用コストの大幅な削減にもつながります。また、妨害電波への対策も施されており、安全かつ確実な着陸を実現します。

関連項目

地域増強システム（LAAS）：民間航空で使用される類似のシステム。
広域増強システム (WAAS)
計器着陸装置 (ILS)
GPS
マイクロ波着陸装置 (MLS)

脚注

Federal Aviation Administration (FAA) (February 27, 2004). “Local Area Augmentation System (LAAS) Fact Sheet”. January 18, 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月15日閲覧。
Department of Transportation and Department of Defense (March 25, 2002). “2001 Federal Radionavigation Plan” (PDF). 2022年12月15日閲覧。

外部リンク

FAA GPS Programs（英語）
FAA LAAS Fact Sheet（英語）
Stanford JPALS Page（英語）
Raytheon JPALS Product Page（英語）
FAS JPALS Page（英語）
GlobalSecurity.org's JPALS Page（英語）
US Navy information（英語）
* US Navy images（英語）

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