絵本の家ゆきぼうし

絵本の家ゆきぼうし

新潟県魚沼市、雄大な守門岳を望む自然豊かな地に、絵本を中心とした私設図書館「絵本の家ゆきぼうし」はあります。この施設は「自然と子どもと絵本」を活動の根幹に据え、地域の人々による温かいボランティア運営によって支えられています。1995年8月6日、旧守門村（現魚沼市）に開館した「ゆきぼうし」は、その開設にあたって、創設者の知人や多くの支援者からの貴重なカンパや絵本の提供といった、様々な人々の協力によって実現しました。

館内には、現在9700冊を超える豊富な蔵書が所狭しと並んでいます。日本の絵本作家や海外の作家による作品をはじめ、紙芝居、そして自然、童話、児童文学に関連する書籍など、多岐にわたるジャンルを網羅しています。また、蔵書は幼児向けの絵本から、小中学生、さらには大人まで、幅広い年代の読者を対象としています。訪れる人は誰でも自由に館内の本を手に取って読むことができ、また、貸出手続きを経て自宅でゆっくりと楽しむことも可能です。ボランティアスタッフは、日常の運営だけでなく、定期的に絵本の読み聞かせ会や展示会、季節ごとのイベントなどを企画・開催しており、訪れる人々に絵本や読書を通じた新たな発見や交流の機会を提供しています。

「絵本の家ゆきぼうし」のユニークな特徴の一つに、建物のすぐ裏手に広がる「フーのきの森」の存在があります。この森は、朴の木を中心に様々な木々が生い茂り、中には木や草花だけでなく、鳥や昆虫、カエル、小動物など、多様な生き物たちが息づいています。「フーのきの森」は、絵本の読書体験と並行して、子どもたちの心と体の豊かな成長を育むことを願い、設けられました。ここでは、子どもたちは自由に森の中を散策し、自然との触れ合いを通じて五感を刺激し、新たな発見や学びを得ることができます。

絵本の家「ゆきぼうし」が持つ最大の魅力は、まさにこの二つの空間――屋内の絵本の世界と、屋外の自然豊かな森――を自由に行き来できる点にあります。子どもたちは室内で心温まる絵本の世界に浸った後、すぐに外に出て森で思い切り体を動かしたり、自然の中で遊んだりすることができます。この両方の体験が可能であることで、子どもたちは知識や感性を磨きながら、同時に心身ともに健やかに育つことができるのです。

施設の周辺には、歴史的な建造物である目黒邸、広々とした奥只見レクリェーション都市公園 須原公園、冬のアクティビティが楽しめる須原スキー場、そして地元の酒造である玉川酒造などがあり、絵本の家を訪れた際に合わせて立ち寄ることも可能です。交通アクセスとしては、関越自動車道魚沼インターチェンジから車で約30分、またはJR只見線越後須原駅から徒歩約15分と、比較的容易に訪れることができます。

「絵本の家ゆきぼうし」は、絵本という文化と豊かな自然が融合した場所として、地域の子どもたちだけでなく、多くの人々にとって、学びや憩いの場を提供し続けています。

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