守門村

新潟県北魚沼郡に位置し、かつて独立した自治体として存在した守門村（すもんむら）は、2004年11月1日をもってその歴史に幕を下ろしました。この日、守門村は小出町、堀之内町、湯之谷村、広神村、入広瀬村と合併し、新たに誕生した魚沼市の一部となりました。村の役場機能は廃止され、地域は魚沼市の行政区として再編されました。平成12年に行われた国勢調査では、村民の約14.1%が隣接する小出町へ通勤していることが示されていました。

地理的には、村域は新潟県の中山間地域に広がり、雄大な守門岳の山容を背景に、破間川や福山川といった清流が流れる豊かな自然環境に恵まれていました。これらの河川は地域の景観を形成し、生活に深く関わっていました。村内には特筆すべき大きな湖沼はありませんでした。

守門村の歴史は古く、特に近世以降は、この地方で大きな力を持った庄屋である目黒家との関わりが深く、地域の発展や文化に大きな影響を与えました。現在も残る目黒邸は、その歴史を物語る重要な文化財となっています。近代に入り、町村制が施行された1889年4月1日には、須原村、広瀬村、上条村、高根村の四村が誕生しました。その後、1893年4月1日には高根村が分割され、横根地区は入広瀬村へ、残る高倉地区は高倉村として独立しました。明治期後期の1901年11月1日には、さらなる合併が進み、須原村と広瀬村が合併して新たな須原村となり、上条村と高倉村が合併して上条村が成立しました。そして、昭和の大合併の波の中で、1956年9月30日、これらの須原村と上条村が一つとなり、「守門村」が誕生したのです。この守門村は、約半世紀にわたり自治体として存続した後、平成の大合併により魚沼市へと再編されました。

行政面では、村長は1989年3月26日以降、野村學氏が務めていました。教育施設としては、村立の小学校が三校（福山小学校、上条小学校、須原小学校）ありましたが、福山小学校は村の消滅に先立つ2004年に上条小学校と統合されています。中学校は村立守門中学校が一校ありました。

交通網を見ると、村域には高速道路は通っていませんでした。最も近い高速道路のインターチェンジは、隣接する小出町（現在の魚沼市の一部）にある関越自動車道の魚沼インターチェンジでした。一般国道としては、国道252号線と国道290号線が村内を走り、地域の主要な交通路となっていました。また、新潟県道57号栃尾守門線や新潟県道70号小出守門線といった主要地方道も整備され、周辺地域とのアクセスを支えていました。鉄道に関しては、東日本旅客鉄道（JR東日本）の只見線が村内を縦断しており、上条駅と越後須原駅の二つの駅が村民の利用に供されていました。

守門村は、豊かな自然に加え、多様な名所や観光スポット、文化財を有していました。国の重要文化財に指定されている歴史的建造物としては、前述の目黒邸と佐藤家住宅があります。これらの建物は、地域の歴史と文化を知る上で非常に価値の高いものです。レジャー施設としては、守門温泉SLランド、奥只見レクリェーション都市公園須原公園、玉川酒造のゆきくら館（酒蔵見学施設）、絵本の家ゆきぼうし、合宿村などがありました。冬季はスキー場が賑わい、1963年に開業した須原スキー場は多くのスキー客を集めました。かつてはアクシオムスキー場もありましたが、こちらは1972年に開業し、2001年に閉業しています。また、かつては村内に新映館という映画館も存在し、娯楽施設として親しまれていました。自然科学館星の家は、地域の自然や星空について学ぶことができる施設でした。

守門村は、その独特の歴史、豊かな自然、そして地域に根差した文化や施設を持つ村でした。現在は魚沼市の一部として、その歴史と魅力は引き継がれています。

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