絶対君主制

絶対君主制の理解

絶対君主制（ぜったいくんしゅせい）は、君主制の一形式であり、君主が国家の全ての権限を持ち、制約なしに権力を行使する形態を指します。これは、他の権力機関や制度が存在しても、君主がその上に立つという特性を持っています。一般的に、絶対君主制は君主による執政が神の意志に基づいているとされることがあり、この考えは「王権神授説」と呼ばれます。このような政体では、君主はしばしば民の家長として位置付けられ、国家そのものや国民は君主の所有物と見なされることがあります。

概要と歴史的背景

絶対君主制においては、貴族や議会などの権限よりも君主の権威が常に優位に保たれるという特徴があります。また、絶対君主制は歴史学上「絶対王政」や「絶対主義」とも称され、特にヨーロッパでは16世紀後半のスペイン、イングランド、さらに17世紀にはフランスやスウェーデンといった国々がこの制度の例として挙げられます。

18世紀に入ると、啓蒙主義の影響が強まり、これには絶対君主制に対抗する新しい政治概念が含まれていました。しかし初期の啓蒙主義者たちは、その一部を「啓蒙専制君主」として認めていました。東アジアでは、江戸時代の日本や中国の王朝などが見られ、これらもまた東洋的専制主義の例として捉えられています。

現代の動向

1945年以降、国際社会における絶対君主制の影響力は減退してきました。特にデモクラシーの波が押し寄せる中、バーレーンは2002年に立憲君主制を導入し、それに続いてブータンも徐々に立憲君主制に移行しています。さらに2008年にはネパールが共和制に移行するなど、絶対君主制を採用している国々は減少傾向にあります。

現代においても、制限君主制と見られる政体の中には、実際の権力行使が絶対君主制の特性を示している場合があります。例えば、君主の権限が大幅に制限されていても、非常事態宣言や国会の長期停止が続く場合、または権力分立が机上の空論に過ぎない場合などには、実質的には絶対君主制に近いと見なされることがあります。

現在の絶対君主国

以下は、現在も絶対君主制を採用している国々の一覧です。

アジア

- ブルネイ（国王）
- アラブ首長国連邦（首長国）
- オマーン（国王）
- カタール（首長）
- クウェート（首長）
- サウジアラビア（国王）
- バーレーン（国王）

アフリカ

- エスワティニ（国王）

ヨーロッパ

- リヒテンシュタイン（大公）
- バチカン市国（ローマ教皇）

これらの国々は、現代においても絶対君主制が存在していることを示しており、各国の政治体制の変遷には興味深い歴史的背景があります。

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