続・拝啓天皇陛下様

映画『続・拝啓天皇陛下様』について

『続・拝啓天皇陛下様』は、1964年1月1日に公開された日本の喜劇映画です。この作品は松竹によって製作され、同時上映には『モンローのような女』がありました。前作『拝啓天皇陛下様』の続編であり、さらに同年には『拝啓総理大臣様』が公開され、これら三作品が「拝啓天皇陛下様シリーズ」としてまとめられています。

概要

この映画は、前年の『拝啓天皇陛下様』同様、棟田博の小説を原作としており、主人公が戦死した前作とは異なり、設定や展開が一新されているため、独立した作品として楽しめます。特に、戦後のエピソードが多く含まれ、視聴者には異なる時代の背景を感じさせる内容となっています。脚本には著名な映画監督でもある山田洋次の名前がクレジットされています。

物語の中心を担うのは、山口善助というキャラクターです。彼は軍犬兵として登場しますが、オープニングのスタッフクレジットには、登場する犬たち（すべて警察犬）が紹介されており、彼らとの関係性も重要な要素の一つになっています。これは物語をより豊かにし、キャラクターの個性を際立たせる役割を果たしています。

あらすじ

物語は、器用な容姿とは言えない山口善助の人生を描きます。彼は幼少期に家族を魚の中毒で失うという悲惨な過去を持つ人物です。そのため、彼は「ウンコの善さん」といったあだ名で呼ばれることが多く、持ち前の純朴な性格がさらなる試練に直面します。しかし、そんな彼にも召集令状が届けられ、入隊することになります。

善助は、彼を友として慕う華僑の王夫妻によって、髪を整えてもらい、勇気をもらいながら学兵生活をスタートさせます。しかし、彼は入隊から6年経っても一等兵から昇進できず、「モサクレ」と揶揄されます。そんな彼の人生が大きく変わるのは、中国本土の軍犬部隊で、賢く善助に懐く軍犬トモハルと出会ったこと。トモハルとの触れ合いを通じて、善助は共に過ごす喜びや友情を学びます。

やがて戦争が終結し、日本に帰国することになりますが、善助の心の中にはトモハルの飼い主であった元華族の未亡人、久留宮夫人への思いが深く根付いています。彼は彼女に人生を捧げようと決意しますが、運命は思い通りには進まず、久留宮夫人はシベリアから復員してきた亭主と再会してしまいます。その結果、善助はケイ子との結婚を選ぶことに。人生の選択に直面する彼の姿は、観客に深い感慨をもたらします。

出演

映画には、渥美清が山口善助を演じ、桑原富久が子供時代の善助を演じています。そのほか、久我美子、佐田啓二といった名優たちがキャストに名を連ねており、それぞれのキャラクターが物語に彩りを加えています。特別出演として岩下志麻や高橋とよも登場し、豪華な顔ぶれが作品を盛り上げます。

スタッフ

製作は白井昌夫が務め、原作には棟田博の名著「拝啓天皇陛下様」を基にした脚本が、多賀祥介や山田洋次とともに創られました。音楽は芥川也寸志が担当し、映像美を引き立てるために撮影技術や美術にも多くの工夫が凝らされています。監督の野村芳太郎の手腕によって、喜劇というジャンルに新たな風を吹き込む作品が仕上がりました。

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