続後撰和歌集

概要

『続後撰和歌集』（しょくごせんわかしゅう）は、平安時代から鎌倉時代にかけての和歌集の一つであり、二十一代集の第10番である。この集は、20巻からなり、撰者は藤原為家が務めた。合計で1368首の和歌が収められており、1226年に後嵯峨上皇の命により編纂が開始された。

編纂の経緯

編纂作業は、宝治2年（1248年）7月25日に奉勅された後、建長3年（1251年）10月27日には奏覧を迎えた。この時期は、文治政治が進行しており、文学や芸術が盛んに発展した時代であった。『続後撰和歌集』はその証とも称されており、和歌を通じて当時の文化や人々の思いを知る手がかりとなっている。

構成と部立

この和歌集は、詩の種類に応じていくつかの部立に分かれている。春（上中下）、夏、秋（上中下）、冬、神祇、釈教、恋（1-5）、雑（上中下）、羈旅、賀の10のカテゴリーが設けられており、それぞれで異なるテーマが扱われている。特に、雑下には哀傷や無常に対する歌が収められていることが特徴的で、当時の人々の心情が色濃く反映されている。

主な歌人

『続後撰和歌集』に名を連ねる歌人は、藤原定家や西園寺実氏、藤原俊成、藤原良経、後鳥羽上皇など、自身の和歌を通じて歴史を刻んできた著名な人物たちである。それぞれが独特の視点から和歌を詠み、それによって多様な表現や感情が生まれた。

歌風と評価

この和歌集の歌風は、為家の父である藤原定家が選んだ『新勅撰和歌集』の影響を受けているが、一方で平板で無気力に感じられるとの批評も存在する。歌風には『新古今和歌集』への回顧が見られ、過去の和歌に対する敬意が表現されている。

和歌の位置づけ

『続後撰和歌集』の序文によれば、当時の和歌集は『古今和歌集』から『続後撰和歌集』までの流れで「十代集」と呼ばれていたという。この呼称は、和歌の発展と変遷を示している。

重要文化財として

現在、『続後撰和歌集』の中には冷泉家時雨亭文庫に撰者自筆本が存在し、昭和59年（1984年）に重要文化財に指定された。この自筆本は特に貴重な存在であり、古写本があまり伝存していないため、和歌の歴史的価値を物語る重要な資料として位置づけられている。

校訂本の紹介

この和歌集の校訂本としては、『続後撰和歌集　和歌文学大系37』が明治書院から出版されており、佐藤恒雄による注解がなされている。これにより、現代の読者が和歌の奥深い世界をより理解しやすくなっている。

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