続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色

映画『続東京流れ者 海は真赤な恋の色』

1966年11月9日に日活によって製作・配給された日本の劇場用映画、『続東京流れ者 海は真赤な恋の色』は、当時のアクション映画界において注目を集めた作品です。森永健次郎が監督を務め、日活スターの一人であった渡哲也が主演を務めています。

作品の背景と位置づけ

本作は、同年4月に公開され好評を博した『東京流れ者』の正式な続編として企画されました。原作は、川内康範が東京文現社から刊行していた同名小説です。前作同様、渡哲也演じる主人公、流れ者の本堂哲也が、新たな舞台で活躍する姿を描いています。前作での激しい抗争を経て、再び平穏を求めて旅立つ哲也の前に立ちはだかる新たな敵や人間関係が、物語の核となります。原作小説の持つハードボイルドな世界観と、日活アクション特有のダイナミックな映像表現が融合した一作と言えるでしょう。

主要キャスト

主人公・本堂哲也には、前作に引き続き渡哲也が扮しました。彼のクールで孤独なアウトロー像は、当時の若者を中心に多くの支持を得ていました。本作では、ヒロインである戸田節子を橘和子が演じ、主人公との間に生まれるロマンスが物語に彩りを添えます。また、松原智恵子がサリィ香山役で出演し、物語の鍵を握る存在として登場します。

物語に深みを与える悪役陣も、実力派俳優によって演じられています。主人公の前に立ちはだかる「エースの秀」こと戸田信次を垂水悟郎が演じ、その存在感を示しました。さらに、鬼島を井上昭文が、瀬川を金子信雄が演じるなど、日活作品でお馴染みの個性的な面々が、物語を盛り上げています。その他、杉良太郎、吉田輝雄、嵯峨善兵といった俳優陣が脇を固め、作品全体に厚みを与えています。

スタッフワーク

メガホンを取った森永健次郎監督のもと、脚本は大野景範と三代大五が共同で手掛けました。原作・企画は川内康範（東京文現社版）と仲川哲朗が担当しています。音楽は鏑木創が担当し、主人公の心情やアクションシーンを盛り上げる印象的な楽曲を提供しました。また、日活アクションに欠かせない殺陣や立ち回りを手掛けたのは、振付の天宮輝と技斗の峰三平です。彼らの手腕によって、画面狭しと繰り広げられる迫力あるアクションシーンが実現しました。

同時上映作品

『続東京流れ者 海は真赤な恋の色』は、鈴木清順監督、高橋英樹主演の『けんかえれじい』と二本立てで公開されました。『けんかえれじい』は、原作を鈴木隆、脚本を新藤兼人が手掛けた青春映画であり、その独特な映像表現と世界観で、本作とはまた異なる魅力を放っていました。カラー作品である本作と、モノクロの『けんかえれじい』という対照的なラインナップは、当時の日活の多様な作品づくりを示すものでした。

まとめ

『続東京流れ者 海は真赤な恋の色』は、ヒットシリーズの続編として、前作の世界観を引き継ぎつつ、新たな物語と人間ドラマを描き出した作品です。渡哲也を中心とした魅力的なキャストと、森永健次郎監督をはじめとするスタッフの確かな手腕により、エンターテインメント性の高いアクション映画として完成されています。当時の日活アクション黄金期を支えた一作であり、現在も多くの映画ファンに語り継がれています。

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