続 網走番外地

『続 網走番外地』

『続 網走番外地』（ぞく あばしりばんがいち）は、1965年に公開された日本映画で、人気を集めた『網走番外地』の続編です。この作品は、前作からの期待を受けて新たにカラー作品として制作されました。

映画の制作は非常に短期間で行われ、監督の石井輝男は脚本の制作に一週間、撮影に二週間しか要さなかったと語っています。舞台は北の町、網走から函館、そして青森へと移動しながら進行します。シリーズにおいて常連のキャストが多く、一方で新しい顔ぶれも見られる点が魅力です。特に、女優三原葉子の起用や、シリアスなストーリーから一転して華やかな内容にシフトしたことが特徴となっています。また、常連キャラクターである鬼寅も登場し、観客を楽しませる要素が増えています。

本作では、男たちの友情や裏切り、そして犯罪をテーマにしていますが、登場人物たちの人間関係は複雑で、娯楽性の高い展開が続きます。田中邦衛演じるキャラクターが途中から姿を消すといったラフな作りも特徴的です。ストーリーの中には、女スリ、冤罪、殺し屋、そしてダンスのシーンが盛り込まれ、テンポの良さが際立っています。特に、女スリ役の瑳峨三智子は、当初は本作に興味がなかったものの、東映からの口説き落としを受けて出演を承諾しました。

物語は、函館の銀行に侵入する二人組の男たちから始まります。彼らは金庫を焼き切ろうとしますが、巡回中の警備員を射殺するという衝撃的な展開が待ち受けています。続いて、独り立ちを果たした橘の出所シーンが描かれ、彼の周囲にはさまざまな人物が絡んでいきます。特に、女スリのユミに金を盗られるシーンでは、犯罪とその背後に潜む人間ドラマが垣間見えます。

連絡船での出来事や、青森港での展開が緊迫感を持たせ観客を引き込みます。中でも、マリモが宝石の隠し場所として使われるアイデアは、彼らの日常に突如として訪れる非日常を感じさせます。登場人物たちの思惑が絡まり合い、ユミのスリ技術や大親分との対立が続く中で、事態は予想外の方向へ進展していきます。

特に、火祭りのシーンでは、交換の条件が交渉され、緊迫したやりとりが繰り広げられます。ラストシーンは、多くのキャラクターが交錯し、予想以上の結末が待っています。橘とユミの関係にも新たな展開があり、個々のキャラクターの成長が見受けられます。

映画は、1950年代から60年代の日本映画の雰囲気を感じさせるもので、観客の心に深く刻まれ続けています。監督の石井輝男による鮮やかな演出、さらには豪華なキャストの演技が見どころです。この作品は「キネマ旬報」の65年度配給収入ベストテンで第7位にランクインし、映画界に足跡を残しました。

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