綾部利右衛門

十代目綾部利右衛門の生涯

十代目綾部利右衛門（あやべ りうえもん）、1846年7月30日生まれは、埼玉県川越市の実業家であり、初代川越市長としても知られています。通称は峯太郎。彼の家系である綾部家は、元禄13年（1700年）に川越で設立され、以降は塩、油、肥料の商売をしながら、川越藩において重要な役割を果たしてきました。

大商人としての活躍

利右衛門は十代目として、彼の家が築いてきた豊かな文化的伝承を受け継ぎました。彼の先代は、新河岸川の運河の開削に投資を行い、川越の商業活動の中心としての地位を確立しました。歴代の当主は文化的資産も豊富であり、利右衛門もその影響を強く受けていました。

銀行業への参画

1878年、彼は川越の豪商たちと共に埼玉県唯一の国立銀行である第八十五国立銀行の設立に関与しました。この銀行は後に株式銀行に転換し、利右衛門はその頭取として業務を統括しました。また、川越貯蓄銀行や飯能銀行の設立にも携わりました。このように彼は川越の金融業の発展に寄与しました。

商業・公共事業への貢献

川越商業会議所の設立にも尽力し、明治33年からはその会頭を務めました。また、明治35年には川越馬車鉄道を設立し、翌年からは電力供給事業にも進出しました。川越はこの電力のおかげで県内で最初に電灯が灯り、その後川越馬車鉄道は電気鉄道へと進化しました。さらに、この鉄道は後の埼玉県初の電車サービスを提供することになります。

水力発電事業の開拓

彼は大正2年には武蔵水電を創立し、水力発電事業にも着手しました。この事業は後に川越鉄道と合併し、さらに武蔵水電は帝国電灯に吸収されました。その際、鉄道部門は分離され、利右衛門は西武鉄道を設立しました。この結果、西武鉄道は現在のものへと発展しています。彼はまた、川越 - 池袋を結ぶ京越鉄道の設立にも関与し、その後の交通インフラの整備にも貢献しました。

政治への関与

利右衛門は初め政治への関与を避けていましたが、大正デモクラシーの影響を受けて町政が混乱する中、町民の求めに応じて1917年に名誉河越町長に就任しました。大正11年には新たに市制を施行し、初代市長としての任務を果たしましたが、翌年にはその職を辞しました。

最期の日々

利右衛門は1932年1月2日にこの世を去り、その生涯において川越市を含む埼玉県の発展に寄与した功績から、多くの人々に惜しまれました。享年72歳。彼の名前は、商業・交通の発展において永遠に語り継がれています。

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