緊急通報位置通知

緊急通報位置通知とは

緊急通報位置通知は、110番、119番、118番などの緊急通報用電話番号へ通報があった際に、発信者の位置情報を自動的に緊急通報受理機関へ通知する機能です。このシステムにより、通報者の正確な場所を迅速に特定し、警察や消防などの緊急対応機関が迅速に現場へ駆けつけることが可能になります。

概要

日本では、緊急通報の際に、携帯電話、固定電話、IP電話からの発信場所情報が自動的に通知されます。携帯電話の場合、スマートフォンを含む多くの機種が対応しており、MVNO（仮想移動体通信事業者）のサービスでも同様に位置情報が通知されます。また、北米では「E911」、欧州では「E-112」といった同様の緊急通報位置通知サービスが導入されています。

通知される内容

緊急通報時に電気通信事業者から緊急通報受理機関へ通知される情報は、利用する電話の種類によって異なります。

固定電話およびIP電話: 回線契約者の住所が位置情報として通知され、電話番号や契約者名も含まれます。
携帯電話: GNSS（GPSなど）が利用可能な場合は、GNSSによる測位情報が通知されます。利用できない場合は、基地局からの距離などに基づいて算出された位置情報が通知されます。

歴史

携帯電話の普及に伴い、通報者が自分の現在地を正確に把握していないケースが増加しました。2004年には、警察への全通報の57%が携帯電話からとなり、現場への到着時間の遅れが問題となりました。この問題を解決するため、総務省が緊急通報時の位置情報通知システムの導入を推進し、2007年4月1日に義務化されました。

運用開始

2007年4月1日より、警視庁、神奈川県警察、愛知県警察、大阪府警察、奈良県警察が運用を開始し、消防は主に大都市圏で、海上保安庁は全国で開始しました。通報前に184（非通知設定）を付加すると位置情報は通知されませんが、生命の危機が差し迫っていると判断された場合は、強制的に位置情報が取得されることがあります。

関係機関は、電波状況によって異なる位置情報が通知される可能性があるため、従来通り口頭での住所や目的地の伝達を推奨しています。携帯電話各社は、2007年4月以降に発売する新機種にGPS/GNSSによる緊急通報位置通知機能を標準装備するよう準備を進めています。ただし、GPS/GNSS搭載携帯電話の全てがこの機能に対応しているわけではなく、非対応端末では基地局からの距離に基づく大まかな位置情報のみが通知されます。

注意点

電波状況によって、正確な位置情報が通知されない場合があります。
緊急通報の際は、口頭で住所や目的地を伝えることが重要です。
非通知設定で通報した場合でも、緊急時には位置情報が取得されることがあります。

関連情報

S-GPS：より高精度な位置測位技術
IPアドレス：インターネット接続における端末の識別情報
緊急ロケータービーコン：遭難時に位置情報を発信する装置

外部リンク

消防救急無線・119番緊急通報 - 総務省消防庁
緊急通報位置通知 - NTTドコモ
緊急通報位置通知 - au
緊急通報（110番、118番、119番）したときの位置情報を通知する - ソフトバンク
* 新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合に係る実証試験 最終報告書 - 消防庁防災情報室 (2011年)

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