総務部総務課山口六平太

『総務部総務課山口六平太』は、林律雄が原作、高井研一郎が作画を担当したマンガである。1985年から2016年まで、誌面である『ビッグコミック』にて連載され、20回の文化庁メディア芸術祭でマンガ部門の優秀賞を受賞した。これまでに発行された単行本は1600万部を超えており、サラリーマンを応援する物語として広く親しまれている。

概要

作品は架空の自動車会社「大日自動車」で、総務部総務課に所属するスーパー総務マン山口六平太を中心にさまざまな問題を解決するストーリーが展開される。一話完結のエピソードが基本となっており、特別編も織り交ぜられつつ、ユーモラスな日常を描いている。連載は1985年にスタートし、2016年までの間、一度も休むことなく続けられた。

素材として選ばれたのは、サラリーマンの生の姿や職場での人間関係。六平太の持つ調整力や解決能力は、同僚や上司、取引先の人々とのやりとりの中で次第に明らかになる。登場人物たちは個性的で、彼らの成長や変化も物語の魅力のひとつである。

登場キャラクター

- 山口六平太: 29歳で、穏やかで明るい性格を持つ。彼は社内のトラブル解決を得意とし、周囲から「スーパー総務マン」として一目置かれている。
- 今西欣治: 総務課の課長であり、困難な問題を抱えることが多いが、六平太に頼る場面が目立つ。彼はおっとりした性格で、部下たちへの愛情がある。
- 有馬貴臣: 総務課の係長で、自己中心的で無責任な面が目立つ一方、時には他人の優しさを見せることも。
- 村木賢吉: 大酒飲みで、呼ばれる名が「ブタ」。彼は有馬のストレス解消の対象でもあり、面白おかしいやりとりが繰り広げられる。
- 宮本桃子: 経理部から転属した女性社員で、優秀さと恐ろしさを併せ持つ。彼女の存在は、総務課内で有馬を抑える役割を果たす。

ストーリーの流れ

各エピソードでは、社内のトラブルや人間関係の摩擦といった問題に六平太が直面し、彼が如何にしてそれを解決するのかが焦点となる。時にはコミカルに繰り広げられるオフィスの人間ドラマや、サラリーマン特有の悩みが描かれる。例えば、時代を反映した問題提起も行われ、成果主義や福利厚生といった現実のビジネスシーンも絡められる。

高井研一郎の死去とその後

2016年に作画を担当した高井研一郎が亡くなった後、彼の功績を称えた追悼号が発行され、その後も作品の再掲載などが行われた。こうした動きから、六平太の物語はファンに長く愛され続けていることがうかがえる。

映像化の試み

『総務部総務課山口六平太』は1988年にNHKでテレビドラマ化され、さらに2007年には法務省による広報アニメも制作された。ドラマでは、漫画とは異なるキャラクター像が描かれたこともあって新たな視聴者層を得るきっかけとなった。

このように『総務部総務課山口六平太』は、多様な問題を抱えるサラリーマンの姿をユーモラスに描き、読者に深い共感を与える作品として長年にわたり親しまれています。

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