総和観光

総和観光株式会社の概要

総和観光株式会社（そうわかんこう）は、茨城県古河市に本社を置き、主に貸切バスや特定バス事業を展開していました。1998年に設立され、地元企業や学校、地域団体の送迎を行う一方で、訪日外国人旅行客向けの輸送サービスも手がけていました。この事業は特にインバウンド需要が高まっていた時期に成功を収めており、2018年には年間売上高が約8億6,400万円に達するなど、順調な成長を見せていました。日本バス協会に属し、茨城県バス協会の一員として地域貢献に努めていた企業でした。

成長と繁栄の背景

設立当初から約20年の間、総和観光は様々なニーズに応じた輸送サービスを提供してきました。自社でバスガイドを雇用し、規模の拡大に伴って営業所を茨城県内だけでなく東京都内にも設置。多様な顧客層を確保することで、事業の安定化を図ってきました。特に訪日外国人向けの輸送は、国際観光ブームの中で売上の大きな部分を占め、高い収益をもたらしました。

コロナ禍による影響

しかし、2020年に突如として世界を襲った新型コロナウイルスの影響は、同社にとって悲劇的な転機となりました。外国からの旅行者がほとんど入国できなくなる中、インバウンド需要は完全に消失。さらに、国内旅行の需要も緊急事態宣言に伴う外出自粛により著しく減少し、経営は厳しい状況に陥りました。2021年度の売上高はおおよそ6,800万円にまで低下し、巨額な欠損が発生しました。

事業継続への努力

業績が打撃を受ける中でも、変化に対応しようとする努力が見られました。車両の売却や、行政からの補助金、金融機関からの融資を受けながら事業の継続を目指しました。また、2021年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催が決定すると、さらなる逆風が吹き荒れ、送迎輸送の見込みも立たなくなりました。

破産手続きと解散

2022年1月19日には水戸地方裁判所下妻支部から破産手続き開始決定が下され、負債は約7億6,400万円に達しました。その後、2023年12月22日付で清算を完了し、会社は解散に至りました。

車両について

総和観光は、2020年時点で32台のバスを保有していましたが、その多くはリース契約に基づくものでした。資金繰りが厳しくなる中、自社保有の5台を手放さざるを得ませんでした。車両の外観は白を基調とし、下部が紺色で、車体には金色の文字で「Fantastic Story」のロゴが描かれていました。このロゴは、事業者である平成エンタープライズとの関わりから採用されたものでした。

まとめ

総和観光株式会社は、かつて地域に貢献し、多様な輸送サービスを提供していた企業ですが、コロナ禍により経営破綻に追い込まれました。変化の激しい市場環境において、柔軟に適応し続けることの重要性を再認識させる事例と言えるでしょう。

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