総見院 (京都市)

総見院について

総見院は、京都市北区紫野大徳寺町に位置する臨済宗大徳寺派の寺院であり、大本山大徳寺の塔頭の一つです。この寺院は、戦国時代の武将、織田信長の菩提寺として知られ、本尊には織田信長坐像が安置されています。

歴史

総見院の歴史は、織田信長が本能寺の変で自害したことに始まります。信長の死後、その菩提を弔うため、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）によって大規模な葬儀が執り行われました。この葬儀に先立ち、秀吉は信長の像を二体制作させ、その一体を棺に納め、遺体の代わりに火葬しました。

信長の一周忌にあたる天正11年（1583年）、秀吉は信長の追善菩提のために大徳寺の塔頭として総見院を建立しました。寺の名称は、信長の戒名「総見院殿贈大相国一品泰巌大居士」から取られました。開山には、大徳寺117世の古渓宗陳が迎えられました。

創建当初、総見院は非常に繁栄し、広大な境内に多くの堂塔が建ち並んでいました。江戸時代には200石の寺領を有していましたが、明治時代の廃仏毀釈により、堂塔や多くの宝物が失われ、一時的に荒廃しました。その後、大徳寺の修禅専門道場や管長の住居として使用されましたが、大正時代に再興されました。1961年には、明治時代以降大徳寺に安置されていた信長像が再び総見院に戻され、380年忌が執り行われました。

境内

総見院の境内には、以下のような建造物や施設があります。

本堂：1928年（昭和3年）に再建された建物です。
庫裏：寺院の台所や事務を行う建物です。
回廊：建物と建物を結ぶ屋根付きの通路です。
茶室「香雲軒」：表千家の十三代・即中斎の好みを反映した茶室です。
茶室「龐庵」：扁額は表千家の十四代・而妙斉の筆によるものです。
茶室「寿安席」：明治から昭和にかけて活躍した実業家、山口玄洞によって寄進されました。
茶筅塚：茶筅を供養するための塚です。
清正の井戸：加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰った石を加工して作られた井戸と伝えられています。
侘助椿：樹齢約400年とされる京都市指定天然記念物で、羽柴秀吉が愛したという日本最古の胡蝶侘助とされています。
墓地：織田信長、織田信忠、織田信雄、羽柴秀勝、織田信高、織田信好、織田秀雄、徳姫、織田信貞、織田高重、養華院（濃姫とされる）、お鍋の方など、織田家ゆかりの人々の供養塔があります。
土塀：天正11年（1583年）に羽柴秀吉によって建てられ、「親子塀」と呼ばれる二重構造が特徴です。
通用門：天正11年（1583年）に羽柴秀吉によって建てられた門です。
表門：唐門であり、天正11年（1583年）に羽柴秀吉によって建てられました。
鐘楼：天正11年（1583年）に堀秀政によって建てられ、重要文化財に指定されています。梵鐘も堀秀政によって造立され、重要文化財です。

文化財

総見院には、以下の文化財があります。

重要文化財：鐘楼、梵鐘、木造織田信長公坐像
京都市指定天然記念物：総見院のワビスケ

木造織田信長公坐像

本堂仏間に安置されている木造の織田信長坐像は、高さ約115cmの等身大の像で、衣冠帯刀姿で表現されています。像の底部には、天正11年（1583年）に七条大仏師の康清が制作した旨の銘記があります。この像は、信長像が二体制作されたうちの一体で、もう一体は葬儀の際に火葬されました。

拝観について

総見院は、通常は非公開ですが、春や秋などに行われる特別公開の際に拝観できる場合があります。

アクセス

総見院へのアクセスは、大徳寺に準じます。詳しい情報は、大徳寺の公式サイトや案内を参照してください。

総見院は、織田信長ゆかりの歴史的建造物であり、その歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。

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