総量規制

総量規制とは

総量規制（そうりょうきせい）は、1990年3月27日に当時の大蔵省から全国の金融機関へ向けて出された行政指導です。この政策は、当時の日本における異常な不動産市場の投機熱を沈静化させるために、不動産向けの融資の伸び率を全体の貸し出しの伸び率を下回るように求めるものでした。これは大蔵省の銀行局長である土田正顕の指導のもとに実施されました。

背景と目的

では、なぜこの総量規制が必要とされたのでしょうか。バブル景気の影響で、不動産価格は異常な高騰を見せ、次第に投機行動が加速していきました。政府は土地取引に流れる融資を抑制することを狙いとして、この規制を設けました。具体的には、不動産関連の融資の割合を制限し、金融機関に対して不動産業界、建設業、ノンバンクへの融資実態を報告することが求められました。

制度の実施とその影響

この通達が出されたことにより、金融機関はしばしば融資証明書を発行しても実際には融資を行わない「貸し渋り」や、工事途中での融資打ち切りが全国的に見られるようになりました。このような金融機関の動きは、資産のデフレを引き起こし、結果的には日本経済の長期的な低迷、いわゆる「失われた10年」を招く要因となりました。特に不動産融資の一部には、住宅金融専門会社を対象としなかったことで、資金が農協系金融機関に流れ込み、不良債権問題がさらに悪化しました。

規制の解除とその評価

1991年には業界から規制の緩和の要望が高まり、また、地価の動向が横這いまたは微減にあることが確認されると、規制の解除が検討されました。同年12月20日、ついに総量規制は解除されることとなります。この解除後に、元大蔵省の銀行局長であった西村吉正は、総量規制が施行された当時にもっと早く対策を行うべきだったとの意見があった一方で、施行の必要性を疑問視する意見は少なかったと述べています。

メディアの反応

当時のマスメディアは地価バブルを完全に抑えるべきだとの強い論調が見られ、政策の緩和に対して慎重な姿勢を示しました。新聞の見出しには「地価対策の手綱を緩めるな」というものもあり、その後の報道でも緩和に対する批判が多く見受けられました。今振り返ってみると、この総量規制がもたらした影響は、日本経済にとって非常に深刻なものであったと評価されています。

文化的な影響

また、この総量規制に関連する文化的な作品も残されています。例えば、映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』は、この政策をテーマにした作品です。

総じて、総量規制は日本のバブル[[経済]]における重要な出来事の一つであり、その成果と失敗は現在も議論の対象となっています。日本経済が直面した教訓を引き続き考察していくことが重要です。

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