土田正顕

土田正顕の生涯と功績

土田正顕（つちだ まさあき）は、1936年8月18日に秋田県由利郡矢島町（現在の由利本荘市矢島町）で生まれ、2004年1月30日に67歳で亡くなった日本の官僚です。元国税庁長官であり、初代東京証券取引所社長を務めたことで知られています。

経歴

土田は、学習院初等科、学習院中等科、都立小石川高校を経て、1959年4月に東京大学法学部第1類（私法コース）を卒業し、大蔵省にトップで入省しました。同期には、斎藤次郎（大蔵事務次官、日本郵政社長）、公文宏（国土事務次官、内閣内政審議室長）らがいます。

大蔵省では、大臣官房文書課配属後、主計局調査課調査主任、主計局総務課企画第一係長、藤沢税務署長などを歴任しました。1981年には銀行局調査課長として、銀行業界の強い抵抗を押し切り、50年ぶりの新銀行法改正を成立させました。この改正により、国債の窓口販売や新規店舗開店の緩和が進められ、銀行業界の自由競争が促進されました。この功績により、銀行局長、大臣官房秘書課長に抜擢されました。その後、内閣総理大臣秘書官などを経て、1989年から1992年まで銀行局長を務めました。

バブル経済とその影響

銀行局長時代には、橋本龍太郎大蔵大臣の下で、1990年に金融機関の不動産関連融資を抑える「総量規制」を通達しました。しかし、この規制は1992年に解除され、結果的に日本経済の急激な景気後退を招き、「失われた10年」の端緒を開いたとされています。また、大企業がリストラや新興国重視のシフトを進めたにもかかわらず、国民の所得はほとんど回復せず、景気低迷が長期化する「失われた20年」へと突入するきっかけになったとも指摘されています。

その後の活躍

国税庁長官を退官後、国民金融公庫（現 株式会社日本政策金融公庫）副総裁を経て、2000年5月には東京証券取引所理事長に就任しました。2001年11月には、東証の株式会社化を実現し、初代社長となりました。土田は、金融業界の制度改革に尽力し、その功績は多方面に及んでいます。

その他

土田の兄弟には、「ミスター警視庁」と呼ばれた土田國保（元警視総監）と歴史学者の土田直鎮がいます。また、2007年公開の映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』には、土田をモデルにしたとされる大蔵省金融局長が登場しています。

土田正顕は、そのキャリアを通じて、日本の金融制度に大きな影響を与えた人物であり、その功績は今日でも語り継がれています。

参考文献

「東証上場の森」
「東証上場の森」15周年記念セレモニー 2019.09 在京矢島会

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