緑の街 (映画)

緑の街 (1998年の映画)

『緑の街』は、1998年に公開された小田和正監督の2作目の映画作品です。前作『いつか どこかで』と同様に、監督、脚本、音楽を小田和正自身が手掛けています。

概要

本作の特徴は、従来の映画会社配給ではなく、「シネマ・ツアー」という形式で全国のホールや公民館などを巡回し、上映機材を持ち込んで上映を行った点です。これは、歌手である主人公が映画制作に挑戦するストーリーが、小田自身の経験に基づいていることを反映しています。

ストーリー

物語は、人気ミュージシャンの夏目草介が、全国ツアーの最終日に突如として映画製作を宣言するところから始まります。事務所の社長はリスクを懸念して反対しますが、草介は既に書き上げた脚本の映画化を強行します。しかし、映画制作は困難の連続でした。

まず、配給会社が勝手に主演女優を選んできます。草介は、劇団の裏方をしている元女優の一ノ瀬信子を想定して脚本を書いていたため、この提案を拒否し、信子を強引に主演に抜擢します。しかし、撮影現場は素人監督に協力的ではなく、撮影監督の田村が間を取り持つものの、現場は常に険悪な雰囲気に包まれます。

それでも撮影は進み、いよいよラストシーンの撮影を迎えます。しかし、信子が突然NGを連発します。実は、草介の脚本「遠い海辺」は、草介と信子の過去を投影したものでした。草介が書いたエンディングに納得できない信子は、カメラの前に立つことができません。そのうちに、撮影日程や予算が逼迫し、スポンサーやタイアップも打ち切られ、ついには草介と田村の関係に亀裂が入り、映画制作は暗礁に乗り上げてしまいます。

失意の草介でしたが、社長の坂本に「本気で映画を撮りたかったんだろう？だったら最後までやってみろ」と叱咤激励されます。また、助監督の真下からは「監督は大きな船に乗り込んできた。自分たちは期待していたが、最初から応える義務などない。操縦の仕方なんてわからなくてもいい。それは僕らがやればいい。大切なのは監督が船を出したということ」と励まされます。草介は映画を作りたいという気持ちをストレートにスタッフに伝え、ラストシーンを書き直し、見事に映画を完成させるのでした。

キャスト

夏目草介：渡部篤郎
一ノ瀬信子：中島ひろ子
田村：尾藤イサオ
坂本：津川雅彦

その他、河相我聞、林泰文、魏涼子、藤倉みのり、大森南朋、実近順次、角替和枝、武田鉄矢、泉谷しげる、大江千里、大友康平など、多彩なキャストが出演しています。時任三郎が友情出演しているのも見どころです。

エピソード

冒頭の草介のコンサートシーンは日本武道館で撮影されましたが、これは出演者の一人である大友康平率いるバンド・HOUND DOGのコンサートを中断して行われました。
府中の森芸術劇場でのシーンには当時坂本サトルが率いていたバンド、JIGGER'S SONが出演しています。
泉谷しげるの出演は、彼と同姓同名の映画照明担当者が実在することにちなんでのことです。

スタッフ

監督・脚本・音楽：小田和正
撮影：西浦清、今井裕二
美術：小川富美夫
録音：安藤邦男
編集：小川亜紀子

関連事項

いつか どこかで
緑の街 (小田和正の曲)
* 日産自動車 (協賛スポンサー)

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