緒川藩

緒川藩（おがわはん）

緒川藩は、江戸幕府開府前後の慶長年間、尾張国知多郡緒川（現在の愛知県知多郡東浦町緒川）を所領とした藩です。藩主は水野分長で、9820石を領していました。しかし、藩は短期間で廃藩となり、その歴史は長くありません。

歴史

前史

緒川は、古くは小川、または小河とも呼ばれていました。鎌倉時代には小河氏がこの地を支配し、室町時代から戦国時代にかけては、小河氏の末裔と称する水野氏が本拠地としました。水野氏は、徳川家康の生母である於大の方を輩出した家柄です。於大の方の兄である水野信元は、織田信長と徳川家康を結びつける役割を果たしましたが、天正3年（1575年）に殺害されました。その後、緒川は佐久間信盛領となり、佐久間信盛の追放後は水野忠守の所領になったともされますが、信守も緒川城を退去したともされ、緒川の領主関係ははっきりしません。

水野分長の活動

水野分長は、水野忠分の子として生まれました。父の忠分は織田信長に従い、天正6年（1578年）に戦死しました。天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは、分長は「小河常滑の諸士」とともに徳川家康に従い、本領を安堵されています。その後、叔父の水野忠重に附属され、小田原合戦などにも従軍しました。一時、蒲生氏郷に仕えた時期もありましたが、慶長4年（1599年）に徳川家康に召し出され、大番頭を務め、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いにも参加しました。

慶長6年（1601年）、分長は知多郡内に9820石の知行地を与えられ、緒川藩が立藩しました。石高は1万石に満たないため、一般的な大名の定義には含まれませんが、当時の大名と旗本の区別は曖昧でした。

分長は緒川城（高藪城）を居城とし、水野氏の菩提寺である乾坤院への寄進や、於大の方が帰依した善導寺の移築などを行いました。

慶長11年（1606年）6月、分長は所領を三河国に移され、新城藩1万石の領主となりました。これにより、緒川藩はわずか5年で廃藩となり、緒川は清洲藩主松平忠吉に加増分として与えられました。

歴代藩主

水野家

9820石。譜代。

1. 水野分長（わけなが）

脚注

注釈

出典

参考文献

『角川新版日本史辞典』角川学芸出版、1996年。
二木謙一監修、工藤寛正編『藩と城下町の事典』東京堂出版、2004年。

関連項目

朽木[[藩]] - 朽木元綱領9590石。1万石にわずかに満たないものの、藩とみなされることがあります。

もう一度検索