緒方惟準

緒方惟準の生涯

緒方惟準（おがた これよし）は、天保14年（1843年）に、著名な蘭学者・医師である緒方洪庵の次男として生まれました。幼名は平三、後に章、洪哉と改め、字は子縄、通称は洪斎、号は蘭洲と称しました。

幼少の頃から学問に励み、慶応元年（1865年）には幕府の命によりオランダへ留学。西洋医学を深く学びました。明治維新後の明治元年（1868年）に帰国すると、京都の典薬寮の医師となり、明治天皇の侍医という重責を担いました。さらに、明治2年（1869年）には、大阪に設立された浪華仮病院（後の大阪大学医学部の前身）の院長に就任。オランダ人軍医ボードウィンらと共に病院運営に尽力し、日本の近代医学の発展に貢献しました。

明治4年（1871年）からは陸軍軍医として軍務に携わり、明治18年（1885年）には陸軍軍医学会長兼近衛軍医長という要職を務めました。脚気の予防策として麦飯給食を提唱しましたが、軍上層部との意見の相違から、明治20年（1887年）に陸軍を辞し、大阪にて緒方病院を開業しました。緒方家は代々医業を継承しており、惟準、銈次郞、準一と続きましたが、準一の長男である惟之が奈良市で開業していた整形外科医院を閉じたことで、その歴史に幕を閉じました。

親族

妻の吉重は、佐藤泰然の娘・きはの妹であり、三沢良益の次女として生まれました。14歳で22歳の惟準と結婚し、二人の間には、緖方銈次郞（緒方病院内科長、後に院長）、緒方知三郎、緒方章らの子供たちが生まれました。銈次郞の妻は三浦安の三女であり、その子には緒方準一（奈良県立医科大学学長）などがいます。また、義兄弟には判事の三沢元衡、箕作麟祥、田中芳男といった著名な人物がいます。

緒方惟準の功績

緒方惟準は、幕末から明治にかけての激動の時代において、西洋医学の知識と技術を日本の医療界に導入し、発展させることに大きく貢献しました。特に、浪華仮病院での病院運営や、陸軍軍医としての脚気予防への取り組みは、日本の医学史において重要な足跡を残しました。また、教育者としても多くの医師を育成し、日本の医療の発展を支えました。彼の功績は、今日の日本の医療の礎となっています。

まとめ

緒方惟準は、医師としてだけでなく、教育者、軍医としても卓越した能力を発揮し、日本の近代化に大きく貢献した人物です。彼の生涯は、変化の時代に新しい知識と技術を積極的に取り入れ、社会に貢献することの重要性を示しています。

もう一度検索