織田信親

織田信親：丹波柏原藩最後の藩主の生涯

織田信親は、江戸時代末期から昭和初期にかけて生きた人物です。丹波国柏原藩の第10代にして最後の藩主として知られ、維新後も華族として活躍しました。その生涯は、激動の時代を生き抜いた大名の一つの縮図として、注目に値します。

家系と生い立ち

信親は、交代寄合を務めた山崎治正の三男として誕生しました。母については詳しい情報が伝わっていません。慶応元年(1865年)、柏原藩第9代藩主・織田信民の養子となり、家督を相続することになります。信親が織田家の養子となった背景には、複雑な姻戚関係があったと考えられます。信敬(第8代藩主)は細川行芬の三男であり、信親の実父・山崎治正の継室は行芬の娘であったのです。こうしたつながりが、信親の養子縁組を成立させたと言えるでしょう。

幕末から明治への対応

慶応2年(1866年)、信親は従五位下・出雲守に叙任されました。翌慶応3年(1867年)には、朝廷の要請により上洛。そして、慶応4年(1868年)の鳥羽・伏見の戦いでは、新政府軍に加わり、京都御所の警備に当たりました。小藩の藩主でありながら、比較的早い段階から新政府に与したことがわかります。

藩知事から華族へ

明治2年(1869年)、信親は柏原藩知事に就任しますが、明治4年(1871年)の廃藩置県により免職となります。その後、旧領柏原で農業を営むことを希望し、帰農届が認められました。しかし、明治6年(1873年)には邸宅が全焼するという不幸に見舞われ、一族の邸宅に身を寄せて謹慎生活を送る時期もありました。

その後、明治9年(1876年)には宮中侍候となり、明治15年(1882年)には宮内省に出仕。華族局に配属されますが、明治18年(1885年)には依願退職しています。明治17年(1884年)には子爵の爵位を受けていました。明治23年(1890年)には主猟官に就任し、大正10年(1921年)に高齢を理由に辞職するまで務めました。

生涯の最後と系譜

昭和2年(1927年)、信親は77歳で生涯を閉じました。

信親の系譜を見ると、父は山崎治正、母については記録が残されていません。養父は織田信民です。妻は新庄直敬の長女・詮子です。男子は次男の織田信大(1888-1964)がおり、養女として北条氏恭の娘がいました。

まとめ

織田信親は、激動の時代を生き抜き、大名から華族へと変遷した稀有な存在でした。藩主としての責任、新政府への協力、そして華族としての務めなど、多様な立場を経験しながら、時代の変化に対応していった生涯は、歴史を学ぶ上で貴重な一例と言えるでしょう。彼の行動や選択は、幕末から明治への大きな変化を理解する上で、重要な示唆を与えてくれます。

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