織田信長 (1962年のテレビドラマ)

1962年11月4日から1963年10月27日までの1年間、TBS系列で放送された時代劇『織田信長』は、毎週日曜日の18時30分から19時まで、全52回にわたって放映されました。ダイハツ工業の一社提供によるこの番組は、それまで同枠で放送されていた『ダイハツコメディ』シリーズに続く作品であり、時代劇路線への転換を図ったものでした。

本作の最大の特徴は、織田信長の少年時代を題材としている点です。人並み外れたやんちゃ坊主であった信長の少年期を、様々なエピソードを通して描き出しています。脚本は、映画監督としても知られる中島貞夫氏が、守口等介という筆名で参加。個性的な脚本により、信長の知られざる一面が丁寧に描かれ、視聴者を魅了しました。

監督は萩原遼氏と隅田朝二氏が務め、制作は朝日放送と東伸テレビ映画が共同で行いました。東伸テレビ映画が本枠で制作に関わったのは、本作が唯一の作品となっています。キャストは、少年時代の信長を林真一郎氏、幼少時代の信長を伊藤敏孝氏が演じ、濃姫を島景子氏、信長の父・信秀を小堀阿吉雄氏、母・土田御前を八汐路佳子氏が演じるなど、豪華な顔ぶれが勢揃いしました。さらに、後の天下人となる豊臣秀吉を藤間勘二郎氏、徳川家康を中研二氏が演じるなど、歴史に名を残す人物たちが多数登場します。

しかし、視聴率に関しては、『ダイハツコメディ』シリーズ時代を下回る結果となりました。1年間という放送期間を経て、時代劇路線への挑戦は一定の成果を収めたものの、期待されたほどの視聴率を獲得するには至らなかったと言えるでしょう。

番組の冒頭では、力強い主題歌が流れました。その歌詞の一部は「この俺に、この俺に、情けはないと人は言う。命をかけた一筋の、誓いは誓い、波しぶか。あ～ヽたとえこの身は捨てるとも」というものでした。この歌詞からも、信長の揺るぎない意志と覚悟が感じられます。

『織田信長』は、信長の少年時代を軸に据えながら、後の天下統一へと繋がる彼の成長過程を、ドラマチックに描いた作品と言えるでしょう。豪華なキャスト陣、練り込まれた脚本、そして力強い主題歌など、様々な要素が組み合わさり、視聴者に深い印象を与えた番組でした。視聴率の面では課題を残したものの、時代劇作品としての価値は高く評価できるでしょう。現在では、当時の資料やテレビドラマデータベースなどを参照することで、その詳細な内容を知ることができます。

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