織部司

織部司（おりべのつかさ）

織部司は、古代日本の律令制において大蔵省に属する機関の一つです。唐名は織染署といいます。織染の高度な技術をもち、朝廷で使用する高級織物の生産に従事しました。

概要

織部司は、内蔵寮から支給される原料を用いて、朝廷用の錦、綾、紬、羅などの織染を担っていました。これらの織物は、当時の社会において非常に価値が高く、織部司の技術力の高さがうかがえます。

職掌

織部司の主な職掌は、朝廷で使用される錦や綾といった高級織物を織り染めることでした。『職員令』の集解古記所引の別記によると、錦綾織を行う110戸が所属していたとされています。大宝令においては、錦や綾の織成は織部司の管轄とされていましたが、その技術を全国に普及させるため、和銅4年（711年）には挑文師が諸国に派遣され、錦や綾の織り方を教習しました。これにより、織部司の技術は全国に広がり、地方の織物産業の発展にも貢献しました。

職員

織部司には、以下のような職員が配置されていました（『養老令』による）。

正：1名（正六位下相当、唐名は織染令）
佑：1名（正八位下相当、唐名は織染正）
令史：1名（大初位下相当、唐名は織染史、織染府、織染録事）
挑文師：4名（大初位下相当、大同3年（808年）に2名に削減）
挑文生：8名
使部：6名
直丁：1名
染戸（品部）

これらの職員がそれぞれの役割を担い、織部司の運営を支えていました。特に、挑文師は織物の技術指導を行う重要な役割を担っていました。

脚注

染戸は品部として、織部司に所属していました。

参考文献

阿部猛編『日本古代史事典』朝倉書店、2005年
『続日本紀』1 新日本古典文学大系12 岩波書店、1989年

関連項目

織手
千住製絨所

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