羅針図

羅針図（ローズデヴァン）

羅針図、またはフランス語で羅針図を意味するローズデヴァンは、地図や航海用図面において方位を明確に示すための図形です。これにより、東西南北だけでなく、それらの中間に位置する方位も示されます。羅針図は古代から航行に不可欠な要素であり、今日に至るまで様々な航行システムや機器に取り入れられています。たとえば、海図や無指向性無線標識（NDB）、超短波全方向式無線標識（VOR）、そしてGPS（グローバル・ポジショニング・システム）などが代表的です。

歴史的背景

羅針図の考え方は11世紀に開発された方位磁針に起源がありますが、それ以前に風の向きを表すウィンドローズという概念が存在しました。ウィンドローズは風の吹く方向を方位に関連付けたもので、今では気象学者が使用する風配図に進化しています。風配図は各方位から吹く風の頻度を示し、気象の研究において重要な役割を果たしています。

歴史的に、羅針図は単に方位を示すだけでなく、装飾的な要素を持つこともありました。「ローズ」という名称は、初期の羅針盤が豪華な模様で彩られていたことに由来しています。北を示す部分には、フルール・ド・リスというデザインが施されることもあり、これは北風を意味する「Tramontane」のイニシャルであるTを象徴しています。古地図では、東の方位を示すために「Levante」のLを意匠化したり、エルサレムへの方角を示すために十字架が描かれることもありました。

古代ローマでは、30度ごとの12方位を描いた初期の羅針図が好まれましたが、中世に入ると、船員の教育水準が低いため、16方位版が主流となりました。この場合、22.5度ごとの方位を用いることで、より直感的に理解されるように工夫されています。また「グラード」という単位を用いることで、25グラードごとの表示が普及しました。

古代の「風の薔薇」は、それぞれの方位から吹く風を擬人化した神々の名前で名付けられていました。たとえば、西風は「ゼピュロス」、東風は「エウロス」という具合です。さらに、中世のアラビア人は32方位の羅針図を使って航海を行っていました。この形式は、航海術の発展に寄与しました。

標準的な羅針図を描いた最初の人物としてはPedro Reinelの名が挙げられます。また、トラバースボード（航行記録盤）の上部に羅針図が描かれているのも、航海時に方位をすぐに確認できるようにするための工夫です。

現代の質的変化

現代の羅針図は、主に二つの同心円で構成されており、それぞれ真の方位と磁方位を示します。外側の環が地理的北極点を指す真北を示し、内側の環が磁方位磁針が指す磁北を示します。これらの北を比較することによって生じる角度の差を偏角といい、これは船の位置によって変化します。

さらに、聖公会（アングリカン・コミュニオン）のシンボルとしても羅針図が用いられており、歴史的な文脈の中で新たな装飾的意味を持っています。

結論

古代から現代にかけて、羅針図は航海やナビゲーションの基礎として機能し続けており、その歴史的変遷は航海術の発展と密接に関連しています。方位を明確に示すこの図形は、様々な技術の進歩を反映し、今なお利用されている重要なツールです。

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