美作国分寺

美作国分寺

美作国分寺は、岡山県津山市国分寺に所在する天台宗の寺院です。本尊に薬師如来を祀り、龍壽山という山号を持っています。この寺院は、奈良時代に聖武天皇の勅命によって日本各地に建立された国分寺の一つ、美作国分寺の後継寺院にあたります。この記事では、現在の美作国分寺だけでなく、その前身である古代寺院跡、すなわち美作国分寺跡と美作国分尼寺跡についても詳しく解説します。

概要

美作国分寺は、津山市の東部、吉井川近くの台地に位置しています。創建時の国分寺跡の東隣に建立され、その歴史を継承しています。創建時の国分寺は平安時代末期に廃絶したと考えられていますが、寺の伝承では、承安2年（1172年）に兵火によって焼失したとされています。その後、江戸時代に入り、元和9年（1623年）に津山藩主・森家によって再興されました。さらに、文政11年（1828年）11月には、後を継いだ津山藩主・越前松平家の援助により再建されました。

境内

境内には、創建時の国分寺の礎石がいくつか残されており、往時の面影を伝えています。

美作国分寺跡

創建時の国分寺跡は、現在の国分寺の西隣に位置し、寺域はほぼ2町四方であったと推定されています。伽藍配置は、南から南門、中門、金堂、講堂が一直線に並び、中門と金堂は回廊で接続され、その東南に塔が位置するという、典型的な国分寺式の配置でした。また、講堂の北側には別の礎石建物も確認されています。

出土品から、国分寺は建立の詔が出されてから間もなく造営され、平安時代末期に衰退したと考えられます。特に、創建期の軒瓦の文様が平城宮朝堂院の瓦と類似している点が注目されています。

美作国分尼寺跡

尼寺跡は、国分寺跡から西へ約450メートルの地点、津山市日上の「人神（にんじん）」という小字が残る台地上にあると推測されています。ここでは、ほぼ真北を向いた掘立柱建物跡や礎石の落とし込み穴、国分寺跡と同じ型の軒瓦などが出土しています。しかし、この地域は住宅地であるため、遺構の十分な調査は行われておらず、伽藍配置や寺域もまだ確定していません。国分寺と同様に、8世紀中頃に創建され、平安時代末期から鎌倉時代にかけて廃絶したとみられています。

文化財

国の史跡

美作国分寺跡：2004年（平成16年）2月27日に指定され、2009年（平成21年）7月23日に追加指定されました。

現地情報

所在地

国分寺（現）：岡山県津山市国分寺483
国分寺跡：津山市国分寺296 ほか

交通アクセス

鉄道：JR西日本姫新線・因美線 東津山駅から徒歩約25分

周辺

飯塚古墳：国分寺の北に位置する大型の円墳

脚注

参考文献

史跡説明板
『日本歴史地名大系 岡山県の地名』（平凡社）津山市 美作国分寺跡項、美作国分尼寺跡項
湊哲夫『美作国分尼寺跡発掘調査報告』 津山市教育委員会、1993年

外部リンク

美作国 国分寺 - 公式サイト
美作国分寺跡 - 岡山県「おかやまの文化財」
* 美作国分寺跡 - 津山市ホームページ

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