美少女ゲームの臨界点

美少女ゲームの臨界点：美少女ゲーム評論誌とその影響

『美少女ゲームの臨界点』は、批評家の東浩紀が責任編集を務めたビジュアルノベル評論誌であり、2004年に同人誌として発表されました。この評論誌は、同時期に配信されていたメールマガジン「波状言論」の増刊号という位置づけで刊行され、ISBNコードが付与された上で一部書店でも販売されました。

内容と特徴

この評論誌は、主にKeyの『AIR』や『CLANNAD』といった作品に焦点を当て、美少女ゲームにおける物語性を重視した批評や座談会で構成されています。その論調は、美少女ゲーム情報誌『Colorful PUREGIRL』から強い影響を受けており、同誌の休刊を大きく取り上げています。

しかし、その一方で、KeyやLeafといった特定のメーカーの、いわゆる「セカイ系」と呼ばれるシナリオ重視型の作品を極端に評価する傾向が見られました。その結果、それ以前の美少女ゲームの代表的作品がほとんど無視されるという批判や、「新伝綺」というキャッチフレーズで注目を集めていたTYPE-MOONに対する批判も含まれていたため、「葉鍵史観」という批判も生じました。

このような批判を受けて、『美少女ゲームの臨界点+1』では、ニトロプラスの虚淵玄、でじたろう、鋼屋ジンといったメンバーを新たに迎え、議論の補強を図っています。

その後

座談会の一部は、講談社BOXから刊行された『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』に再録されています。また、執筆陣の中には、夜ノ杜零司と夜ノ杜双成といった変名での参加者も存在します。編集には、当時の「波状言論」スタッフであった佐藤心、前島賢、丹羽洋介などが参加しました。

刊行リスト

hajou books 1 波状言論臨時増刊号『美少女ゲームの臨界点 HAJOU HAKAGIX』
hajou books 1.1 『はかぎくす!!』
hajou books 2 『美少女ゲームの臨界点+1』

関連事項

新現実：文芸誌・批評誌。『美少女ゲームの臨界点』は、東浩紀が『新現実』を自由に編集できたとしたら行ったはずの企画を実現したような本であるとのこと。
ファウスト (文芸誌)
Colorful PUREGIRL

『美少女ゲームの臨界点』は、美少女ゲームの批評において、その後の議論に大きな影響を与えた重要な作品と言えるでしょう。

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