美濃源氏の挙兵

美濃源氏の挙兵

美濃源氏の挙兵は、治承・寿永の乱の中で発生した、美濃の源氏一族による反平氏の軍事行動です。この挙兵は、平氏政権に対する各地の源氏の抵抗運動の一つとして位置づけられます。

挙兵の背景

治承4年（1180年）10月、富士川の戦いで平氏軍が敗北し、その勢力が一時的に後退しました。この敗戦直後の11月7日、源頼朝と源信義（武田信義）に対する追討の宣旨が改めて出され、平氏による再度の追討使派遣が検討されました。この際、平時忠が美濃源氏を味方に引き入れる策を提案しましたが、これは容れられませんでした。その後、11月17日、尾張・美濃の源氏が蜂起しました。

挙兵から合戦へ

美濃源氏の蜂起は、反平氏の動きを全国に広げるきっかけとなりました。11月20日には、近江源氏の山本義経らが挙兵し、反平氏の勢いは拡大しました。しかし、平氏軍は反撃に転じ、近江の反乱勢力は制圧されました。

敗れた近江源氏の武将たちは美濃へ逃亡し、美濃源氏と合流しました。これにより、美濃源氏は勢力を拡大し、平氏に対する抵抗を続けました。

平氏による美濃制圧

年が明けた治承5年（1181年）1月18日、平氏は美濃への攻撃を開始しました。1月20日には、平通盛が蒲倉城を落とし、美濃を一時的に制圧しました。この戦いでは両軍ともに多数の戦死者を出し、一時、美濃源氏の中心人物である源光長（土岐光長）が討ち取られ、梟首されたとの噂も流れました。

美濃を制圧した平氏は、次に尾張の制圧を目指しましたが、平清盛の死去などにより出陣は延期されました。その後、同年3月には墨俣川の戦いが勃発することになります。

美濃源氏の挙兵の影響

美濃源氏の挙兵は、平氏に対する各地の反乱の連鎖を促進し、その後の源平合戦へと繋がる重要な出来事となりました。美濃源氏の抵抗は、平氏政権の動揺を招き、源氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

まとめ

美濃源氏の挙兵は、治承・寿永の乱における重要な一局面であり、平氏政権に対する反抗勢力の一角を担いました。この挙兵は、源平合戦の激化を招き、その後の歴史に大きな影響を与えました。



参考文献

上杉和彦『日本の戦争史 6 源平の争乱』吉川弘文館、2007年。


関連項目

美濃源氏

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