平時忠

平時忠（たいらのときただ）

概要

平時忠は平安時代末期の公家で、桓武平氏の高棟流に属します。彼の父は兵部権大輔の平時信で、母は二条大宮に仕えた女性です。平清盛の継室、平時子の同母弟でもあり、また後白河法皇の寵妃で高倉天皇の母である建春門院は異母妹となります。平大納言、平関白としても名を馳せた彼は、政治的な影響力を持つ人物でした。

生い立ち

時忠の母についての記録は少ないですが、『吉記』によれば二条大宮に仕えていた女性であり、平時信との間に時忠や時子を含む子どもをもうけた後再婚しています。時忠が生まれた時期は不明ですが、妹の時子と比べられる考察があり、彼女の年長であることは確かです。

彼は久安2年（1146年）に17歳で非蔵人となり、久安3年には蔵人の地位を得ました。以降、彼は官職を次々に歴任し、特に仁平4年（1154年）には平清盛と共に重要な儀式に出席するなどし、その名声を高めていきました。

政治的経歴

平治の乱後、時忠は清盛の指示で検非違使に任命され、京都の治安維持に貢献しました。しかし、次第に彼は清盛の意向からやや外れる動きを見せ、応保元年には妹の滋子が後白河上皇の皇子を出産したことで、計画が狂い、解官され出雲国に配流されました。この時世の中は後白河上皇と二条天皇の対立が激化しており、時忠は二条天皇を支持する立場にありました。

その後、彼は数回の失脚と復帰を繰り返しながら政治の中心に戻ってきます。彼は権中納言に就任し、最終的には正二位にまで昇進しました。時忠の復帰は彼の政治手腕と、清盛との微妙な関係を反映したものでした。

建春門院との関係

時忠は高倉天皇の即位とその後の政局に深く関わりました。建春門院との密接な関係は、彼の政治力を高め、堂上平氏の勢力を回復させる重要な要素となりました。彼は中宮の権大夫となり、またその後も多くの重要な役職を担い続けました。時忠の政治生命は主に彼女の存在に依存していたと考えられています。

後白河法皇との対立

しかし、政局は常に安定していませんでした。後白河法皇との間に生じた不協和音は次第に緊張を高め、内外への強硬な対策が求められる局面が続きました。時忠は法皇の意向に逆らうこともあり、政権の均衡を保つ役割を果たしました。

最終期と死

時忠は当時の所領や立場から徐々に政治的な影響力を失っていきました。彼の最期は能登で迎え、1189年に亡くなります。死後、その業績や影響力についてはさまざまな評価がなされ、彼の名は歴史に深く刻まれました。

評価

時忠に対する評価は分かれていますが、彼の業績や能力は歴史的な視点から重要視されています。彼の存在は平家のサポートを受けつつも独自に政権に力を示したことからも、時代を代表する政治家の一人と言えるでしょう。

伝説

伝説によると、時忠は配流先から逃れ、漁師として生計を立てていたと言われています。この話は後に能の演目としても知れ渡っています。

時忠の生涯は、平安時代末期の政治的対立と権力争いの中での彼の行動に彩られた、非常に興味深いものです。

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