美濃王

美濃王について

美濃王（みののおおきみ）は、飛鳥時代に生きた日本の皇族で、その生没年は不明です。彼の名前は旧仮名遣いでは「みののおほきみ」と表記され、文献によっては御野王、三野王、弥努王、美努王とも呼ばれています。いずれも音が同じですが、その系譜に関しては明確な情報はありません。特に、672年の壬申の乱では大海人皇子、後の天武天皇を支持し、天武朝の政治に寄与したという大きな役割を果たしたことが知られています。

美濃王の歴史的背景

壬申の乱は、日本の歴史における重要な内乱であり、その道のりには多くの人物が関与しました。大海人皇子はこの乱の際、兵力がない中で東国の兵を集めていました。その際、宇陀郡の菟田で美濃王を呼び寄せ、彼はそれに応じて行動を共にしましたが、その後の詳細な記録は残っていません。

天武天皇2年（673年）12月17日には、美濃王は造高市大寺司に任命されました。この大寺は大安寺の前身であり、美濃王の冠位は小紫であったとされています。さらに、同年には「大安寺伽藍縁起并流記資財帳」において美濃王が御野王として記されています。

また、天武天皇4年（675年）には、佐伯広足と共に風神を祀るために遣わされ、奈良県の竜田で重要な祭祀を行ったことが『日本書紀』に記録されています。

美濃王の事績

その後も、美濃王は天武天皇の治世で様々な役割を果たしました。681年には天皇が歴史書である『日本書紀』を編纂するための命令を出した際に、川島皇子や忍壁皇子と共に名を連ねています。この記録は、美濃王の重要性を示すものであり、彼がその時代の政治に深く関与していたことを伺わせます。

また、天武天皇は新しい都を造るために臣下を調査に派遣しており、美濃王もその一員として活動しました。681年には新城や信濃国に派遣され、地形の調査を行い、それに関する図を提出したとも伝わっています。

天武天皇14年（683年）には、他の王と共に京と畿内の人々の武器を検査するように命じられています。これもまた、美濃王が当時の政権の中で不可欠な役割を担っていたことを示しています。

さらに、持統天皇8年（694年）には浄広肆三野王という名で筑紫大宰率に任命され、和風の政府においても重要な人物だったことが示唆されています。

美濃王と同時代の人物

興味深い点として、美濃王と同じ名前を持つ三野王、弥努王、美努王などが同時代に存在したことがあります。同じ名前であれば同一人物というわけではなく、壬申の乱の時に別の背景を持つ三野王が存在するため、注意が必要です。美濃王と三野王は同時期に異なる役割を持っていたため、同一人物ではありませんが、どちらも重要な歴史的な役割を果たしたとされています。

このように、美濃王は飛鳥時代において多くの重要な出来事に関与し、さまざまな役割を果たしてきた歴史的な人物であると言えるでしょう。

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