美濃町 (岐阜県)

美濃町（みのまち）：美濃市の歴史と文化を紡ぐ旧町

美濃町は、かつて岐阜県武儀郡に位置し、現在の美濃市の中心部にあたる地域です。美濃和紙の産地として名高く、その歴史は古く、文化的な魅力に溢れています。ここでは、旧町名である上有知町（こうずちちょう）の時代から、美濃町としての歩み、そして現在の美濃市へと繋がる歴史を紐解きます。

歴史

有知の始まり

関ヶ原の戦い後、徳川家康から加増を受けた金森長近は、和紙で栄えていた上有知の町づくりを推進しました。長良川近くの低地に位置していた町は、度重なる水害に悩まされていたため、1605年（慶長10年）に現在の高台へと移されました。

1600年（慶長5年）: 金森長近が小倉山城を築城し、城下町を整備。長良川に上有知湊を開き、和紙の産地としての発展を支えるとともに、物資集散の拠点としての役割を担いました。
1611年（慶長16年）: 金森長光の死去により、上有知藩は廃藩となります。
1615年（元和元年）: 尾張藩領となり、以降幕末まで尾張藩の統治下に入ります。

明治維新以降

1889年（明治22年）7月1日: 町村制施行により、武儀郡上有知村が町制を施行し、武儀郡上有知町となりました。
1911年（明治44年）:
2月11日：美濃電気軌道が開業。
4月1日：上有知町から美濃町へと改称。
1925年（大正14年）7月18日: 安曽野村を編入。
1948年（昭和23年）: 警察制度の改正により、美濃町に自治体警察である美濃町警察が設置されました。
1954年（昭和29年）4月1日: 武儀郡洲原村、下牧村、上牧村、大矢田村、藍見村、中有知村と合併し、美濃市が発足。同日、美濃町は廃止されました。

交通

国鉄越美南線: 美濃町駅が開業し、美濃紙や楮などの原料輸送が飛躍的に改善されました。
名古屋鉄道美濃町線: 美濃町駅前駅・新美濃町駅が設置されました。

名所・旧跡

小倉山: 金森長近が築城した小倉山城跡があり、現在は小倉公園として親しまれています。山頂の展望台からは、美濃の象徴ともいえる「うだつの上がる町並み」を一望できます。
美濃橋: 日本に現存する最古の近代吊橋であり、国の重要文化財および土木学会選奨土木遺産に指定されています。かつては前野渡舟場として、牧谷と上有知を結ぶ重要な役割を果たしていました。
教泉寺: 1559年開山の西本願寺派の寺院。尾張藩上有知代官所の門を移築した山門があり、杉原千畝の出生地としても知られています。千畝の父が税務官吏として隣接する税務署に勤務していた縁があります。
上有知湊跡: 長良川河畔に築かれた湊と灯台は、かつて物資運送の玄関口として栄え、現在は岐阜県の重要文化財に指定されています。
杉原千畝生誕地案内板: 教泉寺山門前に設置されており、杉原千畝がこの地で生まれたことを示しています。

うだつの上がる町並みと秋葉様

高台に移設された上有知は、水不足と度重なる火災に悩まされました。その歴史を物語るのが、「うだつの上がる町並み」と屋根に祀られた「秋葉様」です。「うだつ」は、防火壁としての役割とともに、商人の権威を示す象徴として発展しました。豪華な装飾が施されたうだつは、江戸時代後期から明治時代初期にかけて造られたものが現存しており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。小坂良治家の住宅は、その代表的な遺例として国の重要文化財に指定されています。

「秋葉様」は火の神として、各地区の屋根に祀られ、毎年代表者が秋葉神社へ代参する風習が残っています。

教育

美濃町立美濃小学校（現・美濃市立美濃小学校）
美濃町立美濃中学校（現・美濃市立美濃中学校）
岐阜県立武義高等学校

美濃町は、その豊かな歴史と文化遺産を通じて、美濃市の魅力を heuteに伝える重要な役割を担っています。

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