羽根突き

羽根突き（はねつき）

羽根突きは、日本の正月に欠かせない伝統的な遊びです。この遊戯の目的は、旧年の厄を払うとともに、子供たちの健康と成長を願う支え役を果たします。羽根突きは、ムクロジの種子に羽をつけたものを使用する点が特徴です。羽子板で羽根を打ち合うこの遊びは、ただの娯楽にとどまらず、深い意味が込められています。

遊び方の種類

羽根突きには主に二つの遊び方があります。それは「追羽根」と「揚羽根」です。

追羽根

追羽根は、二人が向かい合って羽子板を持ち、羽根を打ち合います。この際に打ちそこなうと、顔に墨を付けられる罰が与えられることがあります。この罰則は遊びにさらなる楽しさを加えるため、参加者同士の競争心を刺激します。

揚羽根

一方、揚羽根は、一人で羽子板を使い、羽根を打ち上げる回数を競うものです。自分の技術を磨くことができ、集中力を養う良い機会となります。これにより、個々のスキル向上を目指すことができます。

用具について

羽子板

羽子板は「胡鬼板（こぎいた）」とも呼ばれ、コギノキという木材を用いて作られています。特徴的なのは、羽根突きに用いる羽子板が、装飾された華やかなデザインを持つものが多い点です。人物や花鳥の絵が布の押し絵で施され、見た目にも楽しめます。

羽根

羽根は、木製の小球で、元々はムクロジの種子に鳥の羽を刺し込んだものです。この羽根は「羽子」とも呼ばれ、遊びにおいて重要な役割を果たします。

歴史的背景

羽根突きの起源は古く、毬杖が時を経て羽子板へと変化し、毬が羽に進化したとされています。一説によれば、中国から伝わった武術や舞踊、遊びの影響を受け、日本の毬杖と融合しながら、現在の羽根突きへと至ったと言われています。奈良時代には、男子の神事として蹴鞠が行われていましたが、女子には毬杖が用いられていました。

室町時代頃から羽子板が一般的になり、公家の間では「こぎの子勝負」と称する羽根突き大会が開催されていました。この際、負けた方が酒を振る舞うというルールがありました。無患子（むくろじ）の実に羽を付けたもので、女児の病気からの解放を願う意味が込められています。

戦国時代には、羽根突きが祭礼の要素を取り入れ、羽子板には縁起物的な装飾が施されるようになりました。江戸時代に入ると、武家が女児の誕生を祝うために羽子板を贈る風習が広まりました。これが庶民に広がり、年末に女児のいる家庭へ贈られる縁起物として定着し、正月に羽根突きを行う習慣の起源となりました。

羽子歌

羽子突きには、「羽子歌」と呼ばれる歌が伴います。歌詞の例としては、
「一ごに二ご、三わたし四めご、五つ来て見ても、七子の帯を、八の字にしめて、九のまへで十よ」
などが有名です。これらの歌は、遊びを盛り上げると共に、伝統を感じさせる一助となっています。

関連項目

• - 蹴鞠
• - 羽子板
• - バドミントン
• - ジェンズ（毽子）：羽根を蹴る中国の遊戯

羽根突きは、その遊び方や歴史、そして季節感を感じられる魅力的な日本の伝統遊戯です。

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