毬杖

毬杖（ぎっちょう）について

毬杖（ぎっちょう）は、木製の杖に槌を取り付けた道具を使って、木製の毬を相手の陣地に打ち込む遊びです。この遊びは、振り回す動作から「振々毬杖」や「玉ぶりぶり」とも呼ばれています。特徴的な点として、杖には色とりどりの糸を巻きつけられています。

歴史

この遊びのルーツは平安時代にまでさかのぼります。最初は童子たちの遊びとして親しまれ、次第に庶民の間にも広まっていきました。江戸時代に入ると、この遊びは正月の儀式として形を変えながらも存続しました。研究者の可児徳と矢島鐘二は、1913年に出版した『小学校遊戯の理論及実際』の中で、この遊びが古代の体育的遊戯の名残であり、玩具のように扱われることに遺憾の意を表しています。現在では、地域文化の一環として時々楽しまれることがあります。

また、毬杖の名称の由来については、左利きの人が杖を左手に持つことから「ぎっちょ」という言葉が生まれたという説も存在します。この点に関して『本朝俚諺』には、「俗間において左利きの人をぎっちょと呼ぶのは、左専に基づく」といった記述があります。

競技のルール

『小学校遊戯の理論及実際』によると、この遊びは「非常に勇壮な遊戯」と評されています。競技は二つのチームに分かれ、それぞれが約21メートルから23メートルの距離に線を引いて整列します。一方のチームが車輪（毬）を杖で打ち、競技がスタートします。もう一方のチームはそれを打ち返し、打ち返しを続けながら相手の陣地に毬を打ち込もうとします。相手チームが打ち返せずに毬が線の外に出てしまった場合、そのチームが敗れるというシンプルなルールです。

参考文献と関連項目

可児徳と矢島鐘二の『小学校遊戯の理論及実際』は、毬杖の背後にある理論やその実践を詳しく述べています。この遊びは、ホッケーやポロ、ゲートボール、さらには羽根突きなど、多くの他のゲームと関連性を持っています。特に羽根突きは毬杖とジェンズが融合した形で新しい競技として発展しました。

近年では、毬杖は日本レクリエーション協会によっても紹介されており、地域文化体験としての存在感を持っています。本能寺ホテルという映画の中でも、毬杖をするシーンが描かれています。こうした様々な要素が結びつき、毬杖は日本の伝統的な娯楽として存在し続けています。

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