羽衣石城

羽衣石城の詳細

羽衣石城（うえしじょう）は、鳥取県東伯郡湯梨浜町にある中世の山城で、歴史的な価値を持つ城跡として知られています。この城は、伯耆河村郡埴見郷に位置し、鳥取県の指定史跡にも選ばれています。城跡は標高372メートルの羽衣石山にて、東郷池の南側、羽衣石川の上流にあります。

概要

羽衣石城は、その戦略的な位置から東伯耆の要衝として重視されていました。城の歴史は、戦国時代にこの地を治めていた南条氏に遡り、彼らは伯耆の主権を巡り、尼子氏や毛利氏との間で数多くの戦闘を繰り広げました。城の山頂には1990年に再建された三層の模擬天守と南条氏の累代を刻んだ碑がある他、1931年に南条氏の子孫によって建てられた旧模擬天守もあり、城の変遷を物語っています。

伝説によれば、羽衣石城の築城を行った南条貞宗は、当初、十万寺集落周辺に城を築く計画でした。しかし、ツバメが近くの�日向池に落下し、不吉な兆候と感じたため、貞宗は羽衣石山に計画を変更したとされています。その後、十万寺集落の北に幅広い城跡が存在することが判明し、2019年から調査が進められています。

歴史的経緯

羽衣石城の歴史は貞治5年（1366年）に始まり、南条貞宗によって築城されました。その後、大永4年（1524年）には尼子氏の手に落ち、南条宗勝は一時逃げることとなりますが、永禄5年（1562年）には再次帰城しました。宗勝の死後、息子の南条元続が家督を継ぎ、様々な争いに巻き込まれつつも城の主として存在し続けました。

天正12年（1584年）には、織田氏と毛利氏の和睦を受け、南条氏の領土が確定しました。しかし、慶長5年（1600年）、元忠が西軍に加わり敗北したことで羽衣石城は廃城となり、以降の歴史は静かに幕を閉じることになります。

構造

羽衣石城は険しい地形を利用した山岳城郭であり、数多くの曲輪が設けられています。天嶮を生かした防御には、随所に石垣が見られるなど、中世から近世にかけての城郭の変遷が垣間見えます。本丸は山頂に位置し、東西66メートル、南北20メートルの長方形の形状をしています。模擬天守はその西端に建てられています。

また、帯曲輪が本丸を囲むように設けられており、試掘調査では柱穴や柵穴が出土されています。このことから、物見櫓や板塀の存在が推定され、当時の防御体制の一翼を担っていたことがわかります。

さらに、羽衣石城周辺には90を超える砦群が形成されており、南条氏の居館は山腹の八幡神社上とされています。特に、東方尾根は攻撃されやすく、その防御には堀切が設けられていましたが、最終的には1582年の吉川元春との戦闘で落城してしまいました。

十万寺所在城

羽衣石城の南方には十万寺所在城が位置し、423メートルの山頂に広がる大規模な城郭が存在しています。こちらも多くの土塁や堀切を備えた中世の城郭の特徴が見受けられますが、地元には伝承が残っておらず、その理由については議論が続いています。

出城群

羽衣石城の周囲には、白石砦や河口城、田尻城、高野宮城、松崎城などの出城が位置しており、かつての俯瞰的な防御網の一部を成していたことが伺えます。

羽衣石城は、その歴史や構造において、日本の中世城郭の貴重な遺構であり、訪れる人々に深い歴史の面影を伝えています。

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