羽黒 (犬山市)

羽黒（はぐろ）

羽黒は、愛知県犬山市南部に位置する地名で、この地域には歴史と自然が溢れています。南方には羽黒新田や楽田、西側には丹羽郡大口町が接し、名鉄小牧線が西側を通ります。また、五条川が南から流れ、荒神川、半ノ木川、郷川が流れ込むため、豊かな水系を有しています。

地理と河川

羽黒の地理は多彩で、五条川は庄内川水系に属する一級河川であり、入鹿池から流れています。新郷瀬川という人工河川もあり、これは羽黒字水井戸から分岐して郷瀬川を経由し、犬山市の北側で木曽川に合流します。

歴史

中世

羽黒の地名の起源は『尾張国地名考』に見られるように、埴黒の略称とされています。その名が初めて文献に登場したのは建長5年（1253年）の渋谷定心の所領注文とされています。室町時代、羽黒は幕府の御料所であり、梶原氏が羽黒城を拠点としていました。しかし、織田信長配下の梶原氏の滅亡に伴い羽黒城も廃城となります。また、天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは重要な戦闘地の一つでした。

近世

江戸時代には羽黒村が存在し、尾張藩の支配下にありました。村の高は寛文年間に2566石余と記録されています。天保年間の『天保郷帳』では村高は2556石余とされ、明治初期には旧高旧領により3059石余とされました。1868年の大雨によって発生した入鹿切れにより、羽黒村は大きな被害を受け、多くの村人が命を落としました。この出来事により、入鹿切れの慰霊碑が興禅寺に建立されています。

近代

1878年に羽黒村は十吉新田を編入し、1889年には羽黒村と羽黒新田村からなる丹羽郡羽黒村大字羽黒が誕生しました。1915年には人口2880人を記録し、1931年には名岐鉄道の羽黒駅が開業しました。1954年には犬山市が成立し、羽黒の地名は大字として引き継がれています。

交通

羽黒へのアクセスは名鉄小牧線羽黒駅を利用することができます。また、周辺には愛知県道16号や188号、192号、27号、194号などの道路が整備されています。

施設

羽黒には多くの施設があります。小弓の庄は旧銀行を利用したまちづくり拠点で、1999年にオープンしました。また、犬山羽黒郵便局や犬山市民文化会館、体育館も位置しています。日本酒の製造を行う小弓鶴酒造や東洋自慢酒造も地域の特色を生かした企業です。

名所・旧跡

羽黒の名所には鳴海杻神社や興禅寺、羽黒城址などがあります。興禅寺は1174年に創建され、戦火を免れながら再興されてきました。羽黒城はかつて梶原氏の居城として知られています。その他にも歴史的な寺院や文化財が存在し、地域の文化的な魅力を高めています。

羽黒は歴史、文化、自然が交差する場所であり、訪れる価値のある地域です。

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