梶原氏

梶原氏とは

梶原氏（かじわらし）は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍した日本の氏族です。坂東八平氏の一つである鎌倉氏流大庭氏の一族が著名で、特に梶原景時は源頼朝の側近として知られています。

平姓梶原氏の起こり

梶原氏の祖は、鎌倉景通（大庭景通）の嫡男である梶原景久とされています。景久が相模国鎌倉郡梶原の地で梶原氏を称したのが始まりです。特に、景久の曾孫にあたる梶原景時の時代に一族は大きく発展しました。

源頼朝との関係

1180年、源頼朝が挙兵した際、梶原景時は大庭景親とともにこれを迎え撃ちました。しかし、景時は頼朝一行を見逃し、このことがきっかけで頼朝から重用されることになります。

頼朝に服属した梶原一族は、平家追討に貢献し、1185年の壇ノ浦の戦いで平家を滅亡させるという大きな功績をあげました。しかし、平家滅亡後、源義経が朝廷から勝手に官位を受けた際、景時も関与したとして頼朝の怒りを買い、その後も御家人たちからの反発を招きました。

梶原景時の失脚と一族のその後

頼朝が亡くなると、北条氏をはじめとする御家人たちは、景時に謀反の疑いがあると弾劾しました。景時は息子たちを連れて京へ逃れようとしましたが、その途中で討たれてしまいました（梶原景時の変）。その後、景時の弟である朝景が家督を継ぎましたが、1213年の和田合戦で討ち死にしました。

しかし、梶原氏はこれで滅んだわけではなく、景時の次男の子孫は鎌倉幕府、後には足利氏に従い、被官として歴史に名を残しました。また、それ以外の一族も各地に末裔を残しています。

各地に残る梶原氏

唐桑梶原氏

宮城県気仙沼市唐桑町には、100軒を超える梶原姓の家々が集まる日本最大の梶原姓の集落があります。この地には、梶原景時の兄である梶原景実（専光房良暹）が、梶原一族の没落後、蝦夷千島を目指す途中に土着したと伝えられています。景実は一族の冥福を祈るために梶原堂（梶原神社）を建て、その後、景実の猶子となった景茂の子、景永によって早馬神社が創建され、現在まで直系子孫が続いています。

下野梶原氏

梶原景時の嫡男である景季の子、景望は、一族滅亡後に叔母の嫁いだ宇都宮氏を頼り、子孫を残したと伝えられています。

讃岐梶原氏

梶原景時の三男である景茂の子孫は讃岐に進出し、海賊として勢力を振るいました。その後、黒田藩の重役となり、江戸時代から現代まで家系が続いています。

武蔵梶原氏

景時の三男である景茂の子孫は武蔵に進出し、室町幕府時代には鎌倉府奉公衆として名が見られます。戦国時代に一時断絶しましたが、後に足利義氏の時代に太田資正の子、政景によって再興されました。

尾張梶原氏

景時の次男である景高の子と、三男である景茂の玄孫が尾張に進出し、高師直に仕えた梶原景秋の代から土着しました。戦国時代には、羽黒城主であった梶原景久が織田信長に仕えています。

梶原氏の歴代当主

梶原景久【初代】（鎌倉景通の子）
梶原景長【二代】（景久の子）
梶原景清【三代】（景長の子）
梶原景時【四代】（景清の子）
梶原朝景【五代】（景時の弟）

梶原氏の系図

梶原景久
　　　┃
　　 景長
　　　┃
　　 景清
　　　┣━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┓
　　 景実 　景時　　　　　　　　　　　　　　　　　　景道　　　朝景
　　　┏━━━━╋━━━━━┳━━┳━━┳━━┳━━┓　　　　　┃　　　　┃
　　 景季　　　景高　　　　景茂　景国　景宗　景則　景連　　　酒匂景久　役野景貞
　　　┃　　　　┣━━┓　　┣━━┓
　　景望　　　景員　景継　景俊　景永

梶原氏の一族

酒匂氏
役野氏
荻野氏
上坂氏
桑唐氏
宇津木氏
団氏

関連情報

坂東八平氏
鎌倉氏
梶原神社
早馬神社
東京都大田区内の梶原伝承と遺跡


東京都大田区には、梶原景時のものと伝えられる墓や、館跡の伝承が残っています。

参考資料

梶原等『梶原景時－知られざる鎌倉本體の武士』（増補改訂版）新人物往来社、2004年。
田辺希文 著「本吉郡」、鈴木省三 (郷土史家) 編『封内風土記 巻之十四』仙台叢書出版協会〈仙台叢書封内風土記 三〉、1893年。
保田光則『新撰陸奥風土記』1860年。
佐久間洞巖『奥羽観蹟聞老志　巻之九　気仙郡』宮城県、1883年。
伊勢斉助『奥羽観蹟聞老志　補修篇　巻之九　本吉郡』仙台叢書刊行会〈仙台叢書　第十六巻〉、1929年。

外部リンク

* 早馬神社について - 早馬神社

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